プレッシャーの中でつかんだ大きな1勝。差を生んだ要因と次への課題と期待。

日本代表は、ワールドカップ2027 アジア地区予選 Window1 初戦でチャイニーズ・タイペイに快勝し、新たなスタートにふさわしい大きな1勝を手にした。短い準備期間、そして“絶対に落とせない初戦”という重圧の中で、チームが示したのは、やるべきことを徹底して遂行する強度と覚悟だった。

守備の強度と「NO LAG」の徹底で主導権を握る

立ち上がりから日本は高い守備強度で相手ガード陣を封じ込み、24秒バイオレーションを含む数多くのターンオーバーを誘発した。馬場雄大と西田雄大の厳しいオンボールディフェンスが相手のリズムを断ち切り、ホーキンソンはピック&ロールへの対応を変えながら、要所で的確な守備を見せた。守備から流れをつくった日本は、試合の主導権を一度も手放さなかった。

攻撃面では、合宿から掲げてきた「NO LAG（ボールを止めない）」が効果を発揮した。セットプレーに頼りすぎず、速い判断とアーリーオフェンスを軸にリズムをつくったことで、齋藤拓実と西田雄大のペイントアタックが機能する。渡邊雄太とホーキンソンを中心に、流動性のあるオフェンスを展開していった。

この試合を決定づけたのは、渡邊雄太が語った細部の徹底である。ルーズボールへの飛び込み、リバウンドへの執念、そして全員が走り続ける姿勢、こうした積み重ねが日本に大きな差を生み出した。

勝利の中に見えた課題と、次への準備

ホーバスHCは「ペイントアタックは良かったが、もっと良くなれる」と語り、フィニッシュの精度と判断の質を次戦への課題に挙げた。また「台湾のアウェイはタフな環境になる」と警戒し、相手が修正してくる中でのアジャスト力が鍵になると続けた。

渡邊雄太も連戦の中でのコンディション管理を重要視する。「26点差で勝っても台湾で勝てる保証はない」と気を引き締めつつ、帰国後すぐにBリーグ、さらには韓国・中国との試合を控えるスケジュールの中で「健康を維持し、常に準備が大切」と語った。

それでも、この試合を経てチームが得た収穫は大きい。齋藤・西田の継続したアタック、ホーキンソンが見せた守備の幅、そして渡邊雄太が発揮したヨキッチ級の存在感。日本代表は明確な武器を手に、次のステップへと進む。

そして、ホーバスHCにその渡邊雄太について聞くことができた。

J：ホーバスHC、渡邊雄太選手について伺います。
安藤選手、齋藤選手、ホーキンソン選手のピック&ロールの効果と、渡邊雄太選手の1対1やスペーシングが大きな力になっていたと感じました。どのように評価されていますか？

ホーバスHC：
「セットプレーはあまり上手くできなかったですが、ユウタは大事なところでジャンプショットをしっかり決めました。エルボーから綺麗に1回、2回。相手の4番が小さくてミスマッチが生まれて、チャンスの時に確実に決めてくれる。こういう選手がいると本当に安心です。

相手はカオスをつくりたかった。でも、こちらが巻き込まれなければ助かります。なんかヨキッチみたいじゃないですか。ヨキッチはゆっくり、自分のリズムでやる。今日はユウタがまさにそんな感じで、自分のスポットから迷いなく打ち切っていた。それがすごく良かったと思います。」

チャイニーズ・タイペイ戦へ向けて

日本代表は、初戦で示した強度と連動性を武器に、次のチャイニーズ・タイペイ戦へ向かうことになる。ホームで得た大きな1勝を確かな自信に変え、アウェイという揺さぶられる環境でも日本のバスケットを貫けるか。Window1を勝ち切るために必要なのは、迷いのない判断と、小さな積み重ねを怠らないこと。ここからの一戦一戦が、日本の未来をさらに押し出していく。

#1齋藤拓実（PG／172cm／30歳／名古屋D）
#2富樫勇樹（PG／167cm／32歳／千葉J）
#3安藤誓哉（PG／181cm／33歳／横浜）
#12渡邊雄太（SF／206cm／31歳／千葉J）
#18馬場雄大（SF／196cm／29歳／長崎）
#19西田優大（SG／190cm／26歳／三河）
#24ジョシュ・ホーキンソン（C/PF／208cm／29歳／SR渋谷）
#30富永啓生（SG／188cm／24歳／北海道）
#31原修太（SG／187cm／31歳／千葉J）
#34渡邉 飛勇（PF／207cm／26歳／信州）
#91吉井裕鷹（SF／196cm／27歳／三遠）
#99川真田紘也（C／204cm／27歳／長崎）

🗓 大会概要
FIBAバスケットボールワールドカップ2027アジア地区予選 Window 1
・12月1日（月）20:00（日本時間）／新荘体育館（新北市）
📺 放送：BS朝日
📡 配信：DAZN・TVer・ABEMA

《アウェー　大会概要》
【対戦】男子日本代表チーム（22位） vs 男子チャイニーズ・タイペイ代表チーム
【日程】2025年12月1日（月） TIPOFF 20：00 (日本時間)
【会場】新荘体育館（新北市）
【テレビ放送】2025年12月1日（月） 19：54～ ＢＳ朝日にて生放送
【配信放送】ABEMA・DAZN・TVerでライブ配信

FIBA大会公式サイト
https://www.fiba.basketball/en/events/fiba-basketball-world-cup-2027-asian-qualifiers