
今シーズンのスタッツが示す「役割」
安藤誓哉|横浜ビー・コルセアーズ
14.5 PPG(日本人3位)
3.1 APG(50位)
2.2 RPG
PG/181cm・81kg/33歳
得点力とゲームメイクを両立しながら、
「誰が、どこで、どう得点するか」を常に見続ける司令塔。
横浜BCでは、ボールを持つ時間以上に、
攻めの起点やリズムを整える役割を担っている。
齋藤拓実|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
11.6 PPG
5.2 APG(リーグ5位)
2.4 RPG
PG/172cm・69kg/30歳
リーグ屈指のアシスト数が示す通り、名古屋Dのオフェンスは齋藤の判断から始まる。得点力もあるが、「味方を活かすこと」を優先し必要な場面では自らスコアも取りにいく。
キャリアからのお互いの今
安藤誓哉|国内外を渡り歩いた“経験値”
安藤誓哉とは、国内外でキャリアを積み重ねてきた日本屈指のポイントガードの一人だ。年代別日本代表として結果を残し、明治大学在学中には海外挑戦を決断。カナダ、フィリピンと舞台を移しながらプロとしての経験を深めた。帰国後はBリーグでアルバルク東京の2連覇に貢献し、2019年FIBAワールドカップに出場。豊富な実戦経験とゲームコントロール能力を武器に、コートの中心に立ち続けている。昨年、ワールドカップ2027アジア地区予選で日本代表でプレーを重ねている。
「自分が何をやるべきかにフォーカスして、それをやり切るしかない」
派手な言葉よりも、積み重ねと責任を大切にしてきたキャリアが、今の安藤を形作っている。
齋藤拓実|小柄な司令塔が築いた信頼
大学時代は「世代No.1ガード」と評され、
特別指定選手としてアルバルク東京でプロの舞台へ。
滋賀での期限付き移籍を経て、名古屋Dでは長年にわたり主力としてチームを牽引。
2023-24シーズンにはクラブ初の地区優勝に貢献し、月間MVPも受賞。
サイズを理由に限界を決めない姿勢が、今の地位を築いた。昨年、日本代表でワールドカップ2027アジア地区予選で日本代表のポイントガードとして勝利に貢献して、役割を担った。
お互いをどう見ているのか
安藤誓哉→齋藤拓実
「日本のガードで一番リスペクトしている選手」
安藤は少し笑顔を見せながら、こう切り出した。
「何をしてくるか分からない怖さがある選手」
言葉を選びつつ、その理由を丁寧に続ける。
「チェンジ・オブ・ペースが本当に巧みで、ピック&ロールのディフェンスに対しても、何をしても“次の答え”を持っていて、さらにシュート力がある」
「正直、ポイントガードとしての弱点を探すのは難しい。日本のガードで一番リスペクトしている選手です。弱点を探すのが難しい存在」
齋藤拓実→安藤誓哉
「相手を騙す巧さ、それでシュート力がある」
J:安藤誓哉選手はどんな存在ですか?
齋藤は即答だった。
「誓哉さんこそ、本当に“巧い”選手です。本当にリスペクトしている選手です」
大学時代、そしてアルバルク東京で共に過ごした時間を振り返る。
「緩急やフェイクで相手を騙す巧さがある。その上で、ちゃんとシュート力もある」
「年齢を重ねても活躍し続けている理由は、そこにあると思います」
「アルバルクで一緒にやった時、“これは見習わなきゃいけないな”って思いました」
言葉の端々に、先輩への敬意がにじむ。
試合後の会話が映す、2人の距離感
J:試合後はどんな話をしているんですか?
安藤は笑いながら答えた。
「『今年のあそこの高校、強いよね』とか『今日お互いおとなしかったね』とか。本当にたわいもない会話です(笑顔)」
齋藤も笑顔で語った。
「昨日は誓哉さんと同級生の方や、明治大学の先輩たちが見に来ていて。大学1年の時の4年生の先輩たちが揃って、すごく懐かしかったです」
競争関係でありながら、変わらない“先輩・後輩”の関係性がそこにはあった。

今、チームに対する想い
安藤誓哉|横浜BCの課題
今のチームについて
「以前と同じセットや考え方ではダメだなと感じています」
「パスのタイミングが一個ずつ遅れているし、ディナイもきつい。ハーフコートで“ちゃんとやろう”とすると、今はかなり厳しい」
「前半や3Qの出だしでターンオーバーから入ってしまう。それでは勝ちにはいけないですね」
齋藤拓実|名古屋Dへの危機感
チームの現状については
「勝率は良い位置にいるかもしれないですけど、負けている試合の内容が良くない」
「CSで優勝するには、シュートが入らなくても勝てるチームを作らないといけない」
「ディフェンスとリバウンド。そこは絶対に外せないです」
ポイントガードとしてコートで大切にしていること
安藤誓哉
「ベストな選択だと信じ続けるメンタリティを持つこと」
齋藤拓実
「オフェンスで取り返そうとするな。まずはディフェンスから」
数字が示す役割。
キャリアが裏付ける判断力。
笑顔の中で交わされた言葉。
安藤誓哉と齋藤拓実。
2人の日本代表ポイントガードが語った“今”は、競争の先にある信頼と、
チームを勝たせるための想いを確かに映し出していた。
ポイントガードというポジションで、それぞれの役割に立ちながら、同じ「勝利」というゴールを見つめ続ける2人。
大学の先輩・後輩として、
日本代表の司令塔として、
Bリーグを牽引するポイントガードとして。
それぞれの場所で積み重ねてきた時間が、これからもコートの上で交差していく。
安藤誓哉は、流れを読む力でチームを整え、
齋藤拓実は、流れを切り取る決断の速さでオフェンスを前に進める。
チームを前に進める力は共通している。
2人が作る「次の一手」が、
チームに、リーグに、どんなシーンをもたらすのか。
その続きを、今シーズンも見届けたい。



