
「SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子決勝が12月29日、東京体育館で行われた。福岡大学附属大濠高校が97-71で東山高校を破り、2年連続5度目の頂点に立った。福大大濠は今秋の「U18日清食品トップリーグ2025」に続くタイトル獲得となり、今年度の高校男子2冠を成し遂げた。
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福大大濠
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97 | 25 | 1st | 13 | 71 |
東山
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| 30 | 2nd | 24 | ||||
| 21 | 3rd | 19 | ||||
| 21 | 4th | 15 |
12/29(MON)
福大大濠 97-71 東山
白谷柱誠ジャックがダブルダブル
榎木璃旺3P6本・本田蕗以・サントス マノエルハジメらが2桁得点
組織力と完成度で上回った福大大濠が頂点へ。大会を通して築き上げてきたローテーションと一体感で試合を掌握し、王者としての強さを示した。東山は最後まで食らいつき、決勝の舞台で挑み続けた。
序盤の15-0ランで主導権を掌握
試合は序盤、東山の中村颯斗がオフェンスを牽引し先行する展開となったが、福大大濠は開始4分、勝又絆の連続得点で逆転。ここから一気に福大大濠のペースへと傾く。東山のキーマンである中村と佐藤凪に対し、徹底したマークを敷く守備網が機能。15-0のビッグランで東山を突き放し、1Qを25-13で終えた。
2Qに入っても福大大濠の勢いは止まらない。速攻や3ポイント、本田蕗以の豪快なダンクなど、2年生が躍動。東山は佐藤凪・久遠の兄弟による加点で食い下がるも、福大大濠が55-37と18点のリードを奪って前半を折り返した。
3年生の覚醒と「パズルの完成」
後半、東山が中村や佐藤久遠の3ポイントで一時15点差まで詰め寄る場面もあったが、福大大濠は冷静に応戦。第4クォーターには榎木璃旺が次々と3ポイントを沈め、勝利を決定づけた。
今シーズンの福大大濠は、片峯コーチが掲げたチーム作りを進めてきた。昨年の主力が卒業し、無色状態からスタートした現チーム。転機は11月のトップリーグでの“荒療治”だった。一時、3年の主力をメンバーから外した片峯コーチの意図を汲み取り、3年生が一丸となった。
榎木は「自分たちにベクトルを向け、声掛けやルーズボールなどスタッツに表れない部分を突き詰めたことが大きかった」と振り返る。3年生が土台を作り、能力ある下級生を生かすことが、最高の舞台で完成した。
盤石のスタッツで東山を退ける
福大大濠は、榎木が6本の3ポイントを含むチーム最多22得点を記録。さらに“怪物1年生”白谷柱誠が14得点15リバウンドのダブルダブルを達成したほか、本田が16得点、サントスが15得点と、どこからでも得点できる層の厚さを見せつけた。
一方、3度目の決勝に挑んだ東山は、佐藤凪が17得点、佐藤久遠が16得点を挙げるなど意地を見せたが、福大大濠の堅守を前に力尽き、悲願の初優勝には届かなかった。
タイムアップの瞬間、コートに立っていたのは苦難を乗り越えた3年生5人。榎木が投げ上げたボールは、連覇という最高の形で冬の空に舞った。




試合後インタビュー🎙️

片峯聡太コーチが語る覚悟と、福大大濠を日本一に導いた“逆算”
「優勝することを決めていた」
6試合を戦い抜き、日本一に輝いた福岡大学附属大濠。その頂点までの道のりは、偶然でも勢いでもなかった。片峯聡太コーチは、東京入りする前、選手たちにこう伝えていた。「優勝することを、もう決めている」。
「『優勝したい』や『優勝しよう』ではなく、優勝するという決意と覚悟の上で、すべてを逆算して大会に臨みました」。目標ではなく“前提”。そこから、大濠のウインターカップは始まっていた。
コンディションを最優先にしたローテーション
今大会、大濠は初戦から留学生を擁するチームと対戦するなど、気の抜けない試合が続いた。その中で片峯コーチが選んだのは、約11名を軸にしたプレータイムのシェアだった。「準々決勝以降のメインコート、セミファイナル、ファイナルに向けて、最高の状態を作ることを意識しました」
適切なローテーションにより、決勝の舞台でも選手たちは最後までエネルギーを失わなかった。「今日という日を、最高の状態で迎えられたこと。それが大きな勝因です」
3年生を“精神的支柱”にするための決断
転機の一つが、トップリーグ東山戦。
片峯コーチはあえて3年生をメンバーから外す決断を下した。
「福岡県予選で福岡第一さんに負けた時、結束力の差を痛感しました。能力だけでは勝てない。精神的な詰めが足りなかった」
無言のメッセージとして学校に残された3年生たちは、試合映像を見ながら話し合いを重ねた。
「スタッツ以上の貢献、精神的な柱になってほしい。その思いでした」
その後の約40日間で、チームは大きく変わっていく。
「声」と「ルーズボール」がチームを変えた
榎木璃旺は、変化をこう振り返る。
「負けの要因は、ルーズボール一つ、コミュニケーション一つ。そこに絞って取り組みました。ミスが起きたら、その場で3年生が声をかけて解決する。それを徹底しました」
吉岡陽も、練習からの意識の変化を口にする。
「試合以上の強度でディフェンスをすること、40分間コミュニケーションの質を落とさないこと。それが大舞台でも出せました」
全員で掴んだ日本一
勝又絆は、喜びと感謝を真っ直ぐに語った。
「ベンチメンバー全員で掴んだ日本一です。このメンバーだったからこそ達成できました」
下級生の本田蕗以も、3年生への思いを口にする。「自分たちを支えてくれた3年生には、感謝しかありません」
1年生の白谷柱誠ジャックもまた、その背中を見続けてきた一人だ。
「苦しい時、3年生が泥臭い仕事を全部背負ってくれた。来年は自分たちが、その穴を埋めないといけない」

支え続けたスタッフ陣
片峯コーチは、アシスタントコーチ陣への感謝も忘れない。池田コーチは戦術・映像分析、谷口コーチは選手の精神面を支えた。「二人がベンチで徹底して仕事をしてくれたから、私は全体を俯瞰し、采配に集中できました」
想いを形にした日本一
片峯コーチにとって3年生を中心とした本当に誇らしい選手たち。
覚悟を決め、逆算し、積み重ねてきたすべてが形となったウインターカップ。福大大濠の日本一は、“優勝すると決めた日”から始まっていた。そしてここからの福大大濠は、受け継いだものを土台に、新たな挑戦へと踏み出す。日本一の先にある景色を、彼らはもう見据えている。
