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【天皇杯|ファイナル】アルバルク東京はなぜ、怪我人の多さとオン・ザ・コートを乗り越えて優勝できたのか「チームが一つになって、いる選手が全てを出した」

アルバルク東京「WE」ワンチーム

【天皇杯|ファイナル】アルバルク東京はなぜ、怪我人の多さとオン・ザ・コートを乗り越えて優勝できたのか「チームが一つになって、いる選手が全てを出した」

アルバルク東京、積み上げた強度と遂行力の先に、
14年ぶり3度目の栄冠

第101回天皇杯 ファイナル
1月12日/国立代々木競技場 第一体育館

アルバルク東京がシーホース三河を72-64で下し、前身のトヨタ自動車時代以来となる14年ぶり3度目の天皇杯制覇を成し遂げた。

A東京
72 15 1st 20 64
三河
25 2nd 10
11 3rd 18
21 4th 16

スタッツ

2年連続でファイナルに進出したA東京と、8年ぶりに決勝の舞台へ戻ってきた三河。立ち上がりは三河が主導権を握る。西田優大のドライブと3ポイント、ダバンテ・ガードナーのフィジカルを生かした得点でリズムを作り、1Qを20-15とリードした。

それでもA東京は慌てない。2Q、テーブス海を起点にボールがスムーズに循環し、小酒部泰暉、福澤晃平の3ポイントが流れを引き寄せる。さらにセバスチャン・サイズがインサイドで存在感を示し連続得点。守備からリズムを掴んだA東京が、40-30と10点のリードを奪って前半を終えた。

3Q、三河も簡単には崩れない。西田とガードナーを軸に反撃し、51-48と3点差まで詰め寄る。勝負は最終4Qへ。互いに体をぶつけ合う消耗戦の中で、テーブスの持ち込みからの得点、サイズのインサイド、そしてフォスターの3ポイント。A東京は「打つべきところで打ち切る」遂行力を示し、再び主導権を握った。終盤、三河の追い上げを許さず72-64で試合終了。

前年は決勝で涙をのんだA東京。その悔しさを糧に、40分間強度を落とさず、全員で積み重ねたディフェンスと判断力が、14年ぶりの天皇杯制覇へとつながった。

怪我人が続出する中、天皇杯特有のオン・ザ・コート・レギュレーションという難しい条件にも直面した今大会。それでもアドマイティスHCを中心に、アルバルク東京は状況を言い訳にせず、役割の再定義と意思の共有を徹底した。

そして、選手たちはそのメッセージに明確に応えた。誰がコートに立っても基準は下がらない。ゲームの入りから終盤まで、全員が同じ強度、同じ覚悟で40分を戦い抜いた。
示したのは、ハートの強さ、フィジカルの粘り、そして何よりも折れないメンタリティ。流れが揺れかけた時間帯でも主導権を渡さなかった背景には、「この40分をどう戦うか」という共通認識があった。その積み重ねが試合を支配し、最後は勝負を決め切る力へとつながった。

アドマイティスHCが語った準備と対応力

試合後の会見で、アドマイティスHCにまずそのことについて、どんな考えで対策をしていたのかをJbasketで聞いた。特に、強力な三河のオフェンスをディフェンスを変えながら抑え切ったことについて。

「まず選手たちに一番に伝えたのは、『言い訳をしないこと』、そして『悔いなく戦うこと、全てを出し切ること』です。選手たちはそれに見事に応えてくれました。
また、アシスタントコーチやビデオコーディネーターが、6日間で4ゲームというスケジュールの中、1日中、時には徹夜で準備をしてくれました。ゲームプランに関しては常にプランA、プランBを用意していましたが、それがうまくいかない場合のプランC、Dもしっかり準備していました。この短い期間でプランを組み立て、選手たちに浸透させてくれたスタッフは本当によくやってくれたと思います。
我々のチームには対応力とアジャスト(適応)能力がありますので、そこは心配していませんでした。また、トレーナーやメディカルスタッフにも感謝しています。テーブス選手に関しても、本来なら群馬戦は20分程度の予定が、状況により30分以上出ざるを得ませんでしたが、スタッフが彼を支えてくれました。本当にスタッフにも感謝しています」

そのプランには、エース西田優大とガードナーへのディフェンス、そして石井講祐への対応など、どこをより強く抑えて、どこを緩めるかも含めて、チームで徹底されていたことがコーチからも伺えた。それに選手が応え切ったことだ。そこから、いいオフェンスへと2Qからしっかりと流れを作った。

選手たちが示した「役割」と「覚悟」

コートに立てば、誰よりも強い気持ちでプレーしているのが伝わってくるキャプテン・バランスキー。オン・ザ・コートについてはこう語った。
「レギュレーションが決まっている以上、自分や小酒部の役割が増えるのは分かっていました。久々に自分の実力を証明できるチャンスだと思い、思い切って悔いなくやろうという気持ちでした。個人的に天皇杯への思いは強く、得点だけでなくリバウンドやルーズボールといった泥臭いところでもいいからチームに貢献しようと。うちのチームは誰が出ても活躍できる選手しかいないので、メンバーが限られていても不安はありませんでした。コートに全てを出し切って、無理なところは仲間に託す。とにかくチームで勝てばいいと思っていました」

コートに帰ってきたテーブス海は、自身のゲームメイクでうまくアシストしてコントロールできたことについて、
「最初はアンダーで来られたので積極的に打ちましたが、2本連続で入らなくて。一発勝負の決勝なので、シュートが入るのを待つ時間はないと思い、早めに『ペイントアタックをしてキックアウトし、他の選手に打ってもらおう』と判断したのが良かったです。普段のBリーグの試合なら入るまで打ち続けるメンタルでいますが、今日は時間がなかった。周りにザックさんや福澤選手といった良いシューターがいたからこそ、自分の強みであるペイントアタックを早めに使えたのが、流れを持ってこれた要因の一つかなと思います」と語った。

そして、
「アルバルクでプレーしている以上は、どのタイトルも獲りに行く義務があると思ってプレーしています。長い間、天皇杯もBリーグチャンピオンシップも獲れていないからこそ、今年で3シーズン目になるんですけど、責任はものすごく感じていて、報われました」と試合後の涙の理由を語った。

さらに、メディアから「こんなにシュートが決まらなかったのは珍しい」との質問に、優勝会見の場で笑いながら答えた。
「おっしゃる通り。確率は自分でも信じられないんですけど(苦笑)。ただ今までと違うのは、何本外れても『次は入るんじゃないか』と思って打ち続ける姿勢を持てていたことです。シュートが入らなくてもゲームをコントロールしたり、ディフェンスで嫌なところを突いたり、ペイントアタックでボールを捌いたりと、自分にできることはここ数年で増えてきました。『シュートが入らなかったから負けた』とは言い訳したくなかったので、他でもゲームに影響を与える必要があると思ってやってきました。その意味で、シュートは入りませんでしたが、手応えは感じています」

キャプテンの胴上げ

MVPのライアン・ロシターは、
「チーム全員がMVPだと感じております。本当にこのトーナメント、9名しかいない中で戦いましたので、全員がMVPです。
もし海(テーブス)が群馬戦であの得点を決めてくれなかったら、おそらく今日のファイナルのステージに立っていないと思います。ザック選手もプレータイムが増えて、その中でも得点源としてかなり負担がかかったと思いますけど、しっかりと救ってくれました。セバスチャン、小酒部、そしてチームの彼らはいつも通りの仕事をこなしましたけども、それ以上にステップアップするという気持ちが優勝を成し遂げさせたと思います。
それとベテランの(菊地)祥平選手は、あの群馬戦でのディフェンスのビッグプレーがなければ、このような舞台には立てないと思います。今日、福澤選手はおそらく3本の3ポイントを決めたと感じておりますので、そういったものも含め、チーム全員が『いない選手』ではなく、『いる選手』でしっかりと勝ち取り、チーム一つになって連携して、この形で勝利し、チャンピオンになれたことは、本当に本当に嬉しいです」と話した。

長きにわたって日本でプレーしているロシターは、
「ファンは、良い時も悪い時も我々を常にサポートしてくれています。クラブ全体、アルバルク東京というチーム、全てのバスケット関係者にこのような形で恩返しができて、ようやくトロフィーが獲れて本当にホッとしています」と締めくくった。

リーグ後半戦へつながる“土台”

怪我人の多さも、オン・ザ・コートという制約も、アルバルク東京にとっては言い訳にはならなかった。必要だったのは、誰が出るかではなく、「どう戦うか」を全員で共有すること。いる選手が役割を理解し、基準を下げず、40分をやり切る。その積み重ねが流れを支配し、最後は勝負を決め切る力となった。

この天皇杯で示したのは、逆境に置かれても崩れない“チームとしての土台”だ。準備、対応、そして全員で戦う意識。それらは一発勝負だけでなく、長いリーグ戦、そしてチャンピオンシップを戦い抜くために欠かせない要素でもある。
優勝は、本当に素晴らしい成果だ。この勝利で得た確信と自信を胸に、アルバルク東京はリーグ後半戦へ向かう。その先に、さらなる頂点を見据えながら。

 

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