
1月28日、LaLa arena TOKYO-BAYで行われた「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 シーズン」B1第20節。
D.J・ニュービル、ジョン・ムーニーという大黒柱を欠く中で迎えた同地区直接対決。この試合は、単なる1勝ではなく、両チームが「今、何を信じ、どこを積み上げようとしているのか」が鮮明に表れた一戦だった。
序盤は拮抗した立ち上がりとなり、宇都宮ブレックスがインサイドとリバウンドで主導権を握る時間帯もあった。それでも2Q途中から千葉ジェッツが強度を高め、トランジションと要所の3ポイントで流れを引き寄せて前半をリードして折り返す。
後半は一時2桁差を築いた千葉に対し、宇都宮が粘り強く追い上げる展開となったが、千葉が終盤を締めて79-72で勝利した。
「迷わない」ことを選んだ渡邊雄太
ベンチスタートとなった渡邊雄太は、立場の変化を受け入れた上で、明確な意図を持ってコートに立っていた。
「先週末は、個人としてもチームとしても不甲斐ない試合をしてしまいました」
そう振り返った上で、宇都宮という東地区のライバルを相手に掴んだ勝利を、冷静に受け止める。
「こういう相手に、こういう勝ち方ができたのは、一つ自信にしていいと思います。修正点はまだありますけど、とりあえず勝ち切れたことは大きいです」
この数試合、スリーポイント成功率に波がある中で、渡邊が向き合ったのは“技術”よりも“判断”だった。
「映像を見返しても、悪いシュートは打っていなかった。入っている時と外れている時で、大きな違いはないと思っています」
だからこそ、この試合で一つだけ決めていたことがある。
「今日、絶対にやらないと決めたのは“迷うこと”。躊躇して打つべきシュートを打たないなら、コートに立っている意味がなくなる」
外が苦しいなら中へ。
琉球戦で課題として挙がっていたペイントタッチを強く意識し、ドライブやリムアタックで存在感を示した。
「自分を信じて、打ち続ける。アタックするところは、しっかりアタックする」
ベンチスタートについても、言い訳は一切ない。
「スタメンを外されたのは、まだ成長しなきゃいけない部分があるということ。でも、ベンチから出るからといって質を落とすつもりはありません」
今の役割を、こう言い切る。
「むしろスターター以上のエナジーを出す。どういう使われ方であれ、コーチとチームを信じてやっていきたい」



「Next Man Up」を体現した千葉ジェッツ
ジェフ・ギブスが示した“終わりを意識しない姿勢”
試合後、トレバー・グリーソンHCはこの勝利をこう総括した。
「言い訳は簡単。でも、こういう時こそ“Next Man Up”のメンタリティが大事」
ジェフ・ギブスはスターターとして起用され、序盤から身体を張ったプレーで強度をもたらした。
「お互いに欠場者がいる中で、全員がステップアップできた。週末の敗戦を乗り越えて勝てたことが本当に良かったです」
古巣・宇都宮との再会については、キャリアを重ねたからこその言葉が並んだ。
「元いたチームと対戦する時は、やっぱり勝ちたい。田臥選手や竹内選手とは10年近く一緒にプレーしてきたので、会えて本当に嬉しかったです」
この試合後、話題は“引退”にも及んだ。
「引退を表明した時も『99.99%』と言っただけで、『100%』とは言っていません(笑顔)」
「とにかくバスケが大好きなんです。家族も大事だし、今年が最後になるかもしれない。でも、今はまだ『99.99%』ということにしておきます」
キャリアの終盤に差し掛かってもなお、“終わりを決め切らない姿勢”が、この日のエナジーに直結していた。


比江島慎が語った「負けた試合の中の手応え」
敗れた宇都宮ブレックス。それでも、比江島慎は、この一戦を次へと繋がる材料として受け止めていた。
「DJがいない中で、みんながステップアップできたと思います」
「集中力高く入れたと思いますけど、最後にリバウンドで繋がれてしまった。そこは僕たちにとって痛かったところです」
「もっとアテンプトを増やすべきだったという反省もありますし、シュートが入らない中でも、もう少しゴールに絡んでチャンスをクリエイトできたらよかった」
「最低限はできている感覚はありますけど、やっぱり得点の面でもっと貢献したいという気持ちは強いです」
「入らない時でも、ドライブに切り替えるとか、プレースタイルを変えることはできる。そこは考えながらやっています」
「結果は負けましたけど、この試合に関しては自信にしていいと個人的には思っています。また切り替えて、次に向かっていきたい」
「受け入れて、戦い続ける」
ジーコ・コロネルHCの視点
複数の欠場者を抱える中、宇都宮は今季初めてビッグラインナップを本格的に投入した。試合後、ジーコ・コロネルHCはこう語った。
「対抗するために、ビッグマンを3番として使う場面が多くなりました」
「受け入れて、ファイトし続けるしかありません。戦い抜いた先には、Bリーグのタイトルだけに集中できる状況が来る。昨季の琉球が、それを証明しています」




首位攻防戦が残したもの
千葉ジェッツは、言い訳を捨てた強度で勝ち切った。
宇都宮ブレックスは、不完全でも戦える確信を手にした。
渡邊雄太の「迷わない選択」。
ジェフ・ギブスの「99.99%」に込められた姿勢。
比江島慎の「自信にしていい敗戦」。
この79-72は、東地区の現在と、優勝を見据える両者の思想を刻んだ一戦だった。