
男子日本代表の伊藤拓摩強化委員長が3月5日、Zoomでメディア対応を行い、FIBAワールドカップ2027アジア地区予選Window2の振り返りと、次戦となるWindow3への展望について語った。
Window2を振り返り
新体制で臨む最初のシリーズとなり、2連勝には届かなかったものの、今後に向けた重要な材料を得た大会となった。新しいオフェンスとディフェンスのシステムを短期間で共有し、選手たちがそれを信じてプレーできたことは大きな収穫。一方で、中国戦で見られたように流れが変わった場面での対応力や、状況に応じたラインナップの最適解など課題も明確になった。今回得た経験と分析を次のWindow3につなげ、日本代表としてより完成度の高いチームづくりを進めていく。
八村塁を含む海外組との向き合い方
日本代表としては、NBAなど海外でプレーする選手を含めた最強の布陣で戦うことを目指している。ただしNBAには独自のルールや制約があり、選手本人が参加を希望していても必ずしも実現できるとは限らない。
そのため、まず大切なのは選手たちがここでプレーしたいと思える代表の環境を作ることだという。
施設やサポート体制、コーチングなどを含め、日本代表が日本一、そして世界レベルの環境であることを目指す。その上で、選手本人やエージェントと継続的にコミュニケーションを取りながら、どのような形で代表活動に参加できるのかを探っていく考えだ。
環境へのアジャスト
今回、沖縄合宿を選んだ一番の狙いは、まず「環境に早く慣れること」だった。沖縄は日本の中でも気候が独特で、早めに現地入りすることで生活リズムを作りやすくなる。さらに、10日後に戦うアリーナのフロアにも事前に慣れておける。
加えて、合宿初日はどうしても“沖縄に来た”ことで気持ちが高ぶる。そのワクワクを早い段階で消化し、戦うモードへ切り替えるまでの時間を確保する意味でも、長めに沖縄で過ごす価値があると判断した。
リカバリー(フィジカル&メンタル)
2つ目は、移動負担を減らし、身体と心の回復を最優先できること。もし東京で合宿を行えば、各地から東京に集まり、そこから再び沖縄へ移動することになる。この二重の移動は選手にとって大きな負担だ。
沖縄に最初から入ることでフィジカル面の消耗を抑えられる。さらに、海のある環境、ホテル、食事といった要素がメンタル面のリカバリーにもつながる。短期決戦の代表活動では、練習の質だけでなく、回復の質も勝負を左右するという考えがあった。
コミュニケーションと共通認識
3つ目は、新体制にとって不可欠な「共通認識」を作るために、コミュニケーションを取りやすい環境が必要だったこと。共通認識は練習中だけで作られるものではない。
練習前後の時間、ホテルで過ごす時間、食事や散歩などオフの場面での会話が積み重なって、一体感が生まれていく。新しい体制でスタートを切るからこそ、選手とスタッフが日常の中で自然に交わる時間を増やし、同じ方向を向くための土台を作りたかった。
その3点を達成する上で、沖縄というセッティングが最適だと判断したという。
NBA・海外で活躍する選手が増えた未来について
もし10年後、日本人選手がNBAやヨーロッパで活躍するケースが増えたとしたら、それは日本バスケットボールにとって非常に喜ばしいことだと考えている。それは、世界で通用する選手を育てる仕組みが日本にできた証明でもある。
仮に代表招集が難しくなる状況が生まれたとしても、それは日本バスケットのレベルが上がった結果とも言える。将来的にFIBAの大会方式やNBAの状況がどう変わるかは分からないが、その時の状況に応じて柔軟に対応していく考えだ。
まずは、そうした嬉しい悩みが生まれる未来を目指していきたいとしている。
オフェンスとディフェンスを分担した新しいコーチ体制
今回の代表では、オフェンスとディフェンスを明確に分担するコーチ体制を初めて導入した。ヘッドコーチが試合全体を見ながら、オフェンス面ではライアン・リッチマン、ディフェンス面では吉本泰輔コーチに役割を任せる形だ。
これにより試合中の修正や判断がよりスムーズになり、選手にとっても「ディフェンスは吉本コーチ、オフェンスはリッチマンコーチ」と相談先が明確になる。
吉本コーチはディフェンスのスペシャリストとしてNBA系統の経験を持ち、リッチマンコーチはBリーグでもスカウティングが難しいオフェンスを構築することで知られる。それぞれの強みを活かしたこの体制は、まだ課題もあるが、チーム強化に向けて大きな可能性を感じている。
若い世代の育成と次の日本代表
対戦相手が若い選手を多く起用していることよりも、日本代表としてはまず自分たちの強化に集中することが大切だと考えている。
日本でも若い選手は着実に育ってきており、今後重要になるのは、その世代が世界と戦える環境を作ることだ。これまでの強化はオリンピックに向けたA代表の活動が中心だったが、これからは次の世代の代表チームも作り、若い選手がチームとして世界と戦う経験を積める場を整えていく必要がある。
A代表を強化しながら、その先の世代も同時に育てていくことが、日本バスケットの将来にとって重要だと考えている。
Jbasket視点
新体制でスタートした日本代表は、Window2で課題と手応えの両方を得て、次の戦いへと向かう。次戦となるWindow3では、海外組を含めた最強の布陣が実現するのかも大きな注目点となる。日本代表は、さらなるチーム力の向上を目指し、次の戦いへと準備を進めていく。
沖縄での戦いを経て、日本代表は次のステージとなるアウェーのWindow3へと向かう。海外組を含めた新たなメンバー構成も視野に入る中、チームがどのような形で進化していくのか。その戦いに大きな注目が集まる。
