岡田大河20歳の想い/単身スペインへ15歳から渡り現在モナコでプレー「自分がやってる道でしっかり成長していけば、いずれ立てる舞台なんだと」
現在フランスのASモナコU21チームで昨シーズンから活躍している岡田大河。FIBAU19ワールドカップで日本史上最高の8位に入賞に大きく貢献したポイントガード。日本の未来を担う岡田大河にスペシャルインタビューで聞くことができた。
岡田は2004年5月23日静岡県出身の20歳。
小1からバスケを始め、地元静岡の小学校中学校でプレー。その後、父の運営する「SHIZUOKA GYMRATS」に所属し、さらにプレーの幅を広げるために15歳単身でスペインへ留学する。そのスペインでは、マドリードの名門チーム「Zentro Basket Madrid(セントロ・バスケット・マドリード)」のジュニアカテゴリでプレーした後に、
2021年10月にはNBAに次ぐ世界トップレベルとも言われている、スペインプロリーグ(EBA)に日本人最年少17歳でEBA 4部リーグでのプロデビューを果たした。スペインの高校で寮生活をしながらスペインプロリーグの下部組織で活躍する。
2022年には、NBAが世界的に将来のスターを探す、Basketball Without Borders(以下BWB) アジアキャンプに招待される。岡田は日本人プレーヤーとして選出、オールスターチームにも岡田が唯一選出された。更に2023年NBAオールスターウィークに行われたBWBグローバルキャンプにも招待される。
同年6月のFIBA U19 Basketball World Cup 2023では日本代表の司令塔としてチームを牽引、活躍しチームを大会初のベスト8に導いた。同じアンダー世代ではパリ五輪で日本代表で活躍した20歳のジェイコブス晶や川島悠翔、湧川颯斗と日本の未来を担う選手たちがいる。世界ではフランスのウェンバンヤマなども同じ世代になる。
今シーズンは更なる成長を目指し2023年9月にフランスリーグに属している「AS Monaco Basket U21」へ移籍。岡田は従来の日本のバスケットとは違うスタイルで世界に挑戦して、日本人として世界と戦う事を見据えている。そんな岡田に今感じること、想うことをこの大事な時期にJbasketスペシャルインタビューで聞く事ができた。
J:モナコで昨シーズンはどんな1年間でしたか
「元々モナコに行く前に4シーズン、スペインで同じチームでプレーさせてもらってからモナコに移りました。久しぶりの新しい環境で1シーズンを過ごすっていうことだったので、 最初はちょっと少しチームメイトとのコミュニケーションで不安があるかなと思ったんですけど、結構チームメイトやスタッフ陣もすごく歓迎してくれて、 すぐチームに馴染むことはできたんですけど、バスケットの面ではすごい最初難しくて、チームのバスケにアジャストすることがなかなか難しくて、コートでのコミュニケーションがうまくいかないこともあったので、シーズンの入りっていうのは難しかったです」。
J:スペインからこう移る判断やきっかけを教えてください
「国を変えたというよりは、スペインにいた時は、自分たちのチームがトップチームを持ってるチームじゃなかったので、 自分がモナコに来た理由は、ユーロリーグのチームを持っていて、トップチームはすごい名門のチームなので、そこの下部組織に行って自分がトップチームを間近で感じられるチャンスがある場所を知ったので、行かせてもらう形になりました」。
J:実際やってみて印象に残ったプレーや感想を教えてください
「自分のチームはフランスU21リーグでプレーしてたんですけど、アジャストしていく中で、プレータイムも限られている時も結構あって、その面では自分の思ったようなアシストとか、 自分の良さがあまり出せなかったのですが、どんどんチームに慣れていった時に、自分の得意なプレーが出てきて、会場を沸かせられたり、自分の能力やパスを引き出せるようになっていけたので、そこはすごく印象に残っています」。
J:他の選手見て、印象に残るプレーはありましたか
「すごく身体能力が高いので、相手の上からダンクを叩き込むっていうシーンがやっぱりすごかったですね。1シーズン通してこういう環境でずっとやれるのも自分はいい経験だと感じてました」。
J:日本のバスケットファンは岡田選手の海外でのプレーを見る機会がないのですが、ご自身はどう感じて現在プレーされていたりしているのか聞かせてください
「どこでバスケットやるにしても、やっぱりレベルが高いところでやれるのは自分にとっても凄くいいチャンスですし、チームメイトにもすごい選手はいるので、そういう選手と一緒にプレーできるのは自分自身すごく楽しいです。あとは接戦の試合が多く、そういう試合で自分のコントロールが良くて勝ち切れる試合だあったりして、自分の中でも凄く楽しめたかなと思います」。
J:拠点を海外からスタートさせようと思った最大の理由を教えてください
「1番最初は、自分が小さい時に世界のバスケットの試合をテレビとかでよく見ていて、ワールドカップやオリンピックで、海外のレベルはすごく高いんだと知ることができ、1度遠征でスペインのチームに入らせてもらう機会がありました。トーナメントに参加する機会がありインターナショナルの大会に参加して、スペインやフランス、セルビアなどヨーロッパの国から選手たちとの対戦では自分が日本でやれていても海外ではなかなか通用しない場面があって危機感を感じました。そこで、やっぱり海外に行きたいって気持ちになり、今行かないとという気持ちになれたっていうのがありました」。
J :そこから手応えやステップアップしてると感じるところを教えてください
「いろんな選手が集まって即席でチームを組まれたりでアジャストも大変でしたけど、その中でも自分の仕事が大きく変わることはなかったので、ここまで海外でやってきた事もあり、BWBなど海外での試合で少しいい表現ができたのかなって思います」。
J:ポイントガードで速さや緩急などどれぐらい海外で通用するかを本当にみんな注目しています。今イメージでどこまできでますか
「元々、日本にいた時からハンドリングにはすごく自信があって、ずっと練習していたので、そういう面ではもう今でも通用してますし、どれだけ高いレベルに行ってもハンドリング力っていうのは本当にガードにはすごく大事な要素なので、 今まで土台をしっかり作ってこれたので、そこの部分は本当に通用しています。緩急とかスピードも海外で通用するレベルが高くなってきていて、サイズの大きい選手にでも同じようにできる部分もあるし、1番はハンドリングなど、うまく相手をかわせる、相手をずらせる技術とか、シュート力なども通用することができてるので、日本でしっかり土台を作っていくことも大事かなって思いました」。
J:1日のタイムスケジュールはどんな流れですか
「朝は朝練があり、コーチが大体練習の45分前ぐらいに体育館を開けてくれるので、それより早く行けるようにはしています。いつも7時か7時前に起きて、そこから支度して、朝ごはんもそこで食べて8時前には家を出て、8時半までには体育館に着く感じですね。そこから9時半までが全体練習してからフィジカル、個人練習をやって、そして午前の部は対人練習やるかやらないかは、試合のスケジュールを見ながらやります。その後は1回お昼食べてから休憩して、その後午後でチーム練習をやります。終わってからは、ご飯自分で作って寝るみたいな感じです(笑顔)。ご飯は結構ヨーロッパのご飯はもう慣れてきたので、 結構パスタとか結構食べちゃいますね。でもそんなに大したものもは作れないので、気楽にやってます(笑顔)」。
J:海外生活がフィットするのはイメージ通りでしたか
「最初の頃の食事は大変でしたけど、それよりもバスケがやっぱ楽しかったので、 バスケやるために来てるから別に大丈夫っていうとこはありました」。
J:U19ワールドカップでも世界と戦いましたが、そこで学んで今活かしている事は
「安定したパフォーマンスを出すことを1シーズン通して凄い求められるんですけど、ワールドカップでは、自分はその 1試合1試合に波が出てしまったので、コンディションの面も含めて安定したパフォーマンスを出せる選手がプロで通用する選手だと思っているので、1週間に1試合のペースだったのですけど、そういうのにうまくコンディションを持っていけるように早寝早起きとか、しっかりご飯を食べるとか、そういうところから見直していきました。
プレー面では、アグレッシブにプレーすること、泥臭くプレーすることだったり、コートの中でしっかり戦うことを意識してプレーすることができるようになりました」。
J:PGはスタッツに現れないことも多いと思いますが、意識してるスタッツはありますか
「ゲームコントロールの部分でチームから任せられているので、アシストでは絶対にチームトップはもちろんですけど、そのリーグの中でも上位を争っていくことができたので、しっかりアシストは意識していました」。
J:日本にいる同世代の方で仲良い選手とかはいますか
「今はバラバラに散らばっちゃっているので、1人の名前出すのは難しいですけど、やっぱり中学の同級生、クラブの同級生、大学行ってみんなレベル高くなって、今でもバスケ続けてる選手は本当にたくさんいるので、今回日本に帰ってきた時に一緒に会った時もいい刺激やいい話もできたので、そういう面はすごい自分も頑張らなきゃなって思いました」。
J:パリ五輪の感想を
「日本のバスケが海外で通用するってことを証明できた大会だったのかなっていうのは感じました。本当に高いレベルになると、1つのプレーで流れが変わったり、1つのプレーでも勝ちを逃したりところもあったので、そういう試合ができたのは日本にとってもすごいいい収穫だったのかなっていうのは感じました。海外のレベルも改めて高いんだなと実感することができた大会だったので、まだまだ自分はそういうレベルでプレーするのはもっともっと力をつけないといけないんだなと感じましたし、自分がやってる道でしっかり成長していけば、いずれ立てる舞台なんだと実感することができました」。
J:ロサンゼルス五輪を目指していると思いますが、日本代表への想いを教えてください
「今まで自分は周りとは違った道でバスケをしてきたので、いろんな方に選択肢を広げられるところで少しでも貢献できるように、もっと自分の力で道を切り開いていって、 この1年1年、1シーズン1シーズンで自分の結果にこだわってやっていったら、いつか日本代表でも活躍できる選手になれるんじゃないかなと思ってます」。
海外へ出てバスケットを上手くなるという強い想いが伝わってくる。U19ワールドカップでの日本代表としてのもっとできる悔しさや、BWBでの評価を得てからもさらに磨きをかけている岡田大河。スペインからモナコという場所に活動の場を移して、自身の可能性を信じて戦う20歳の数年後に日本代表の日の丸のユニフォームを着て世界から勝利を掴み取る姿を望まれる。
まずは今シーズンの岡田大河に注目していきたい。