
インサイドで体を張り、流れを渡さない。
一発勝負の舞台で勝敗を分けたのは、派手な得点ではなく、球際、リバウンド、そして一つひとつのポゼッションだった。シェーファーアヴィ幸樹が迷いなく遂行し続けた40分。その「一発勝負の戦い方」が、シーホース三河をファイナルへと導いた。
|
宇都宮
|
53 | 17 | 1st | 19 | 71 |
三河
|
| 8 | 2nd | 17 | ||||
| 23 | 3rd | 17 | ||||
| 5 | 4th | 18 |
「一発勝負だからこそ、すべてのポゼッションを取りにいく」
5年ぶりに天皇杯セミファイナルの舞台に立ったシーホース三河。宇都宮を53得点に封じる強度の高いディフェンスで勝利を掴んだ一戦を、インサイドの要として支えたのが シェーファーアヴィ幸樹 だった。
試合後、アヴィはまずこの一戦をこう振り返る。
「宇都宮さん相手に、楽な試合なんて1つもない。今日は本当にディフェンスが素晴らしかったと思います」
ウィング陣がニュービル、比江島慎を抑え込み、チームとして主導権を渡さなかったことが勝因だったと語る。一瞬流れを持っていかれる場面があっても、ディフェンスで引き戻す三河のバスケットを体現した40分だった。
与えられた役割を、徹底する
ダバンテ・ガードナーのファウルトラブルにより、アヴィのプレータイムは増加。それでも自身のスタンスは変わらなかった。
「自分は与えられた役割をやるだけ。プレータイムが増えても、やるべきことは変わらなかった」リムプロテクション、リバウンド、インサイドのハードワーク。目立つ数字以上に、試合の安定感を支える存在だった。
一発勝負だからこそ、すべてを出し切る
天皇杯というトーナメントの特性について、アヴィはこう語る。
「一発勝負なので、全部を出し切る。一つ一つのポゼッション、ディフェンス、リバウンドを“決めにいく”」
リーグ戦とは異なり、疲労や先を考えない分、すべてを今に注ぎ込める。「プレーオフのような感覚」で臨めたことが、強度につながった。
日本人ビッグマンとしての責任と手応え
オンザコートのレギュレーションにより、日本人ビッグマンの役割がより重要になる中で、「自分の存在が大きくなるのは嬉しいし、楽しい。その分、責任を持ってプレーしなきゃいけない」と前向きに受け止める。
リバウンドは“全員で取るもの”
この試合で印象的だったのが、ガード・ウィング陣のリバウンド参加だ。
「めちゃくちゃ助かります。自分が“取らせない”役割に徹する分、こぼれ球をガード陣が取ってくれるのは本当に大きい」
インサイドだけでなく、全員でゴール下を守り切る。その積み重ねが、宇都宮や琉球といったリバウンドを強みにする相手にも対抗できる理由だ。


その胸の内を聞いた。
J:3Q終わりで追い上げられてきて、笛の部分だったり、ゴール際で熱くなっていた時、フラストレーションが溜まる場面などあったと思います。あの時、ベンチから「冷静に!リバウンド」など、そういう声掛けがあったと思うのですが、その時のマインドセットを教えてください。
アヴィ
「やっぱりチームとして、ライアン体制になってから3年目というところで、序盤の1シーズン目、2シーズン目は、どうしても審判と戦ってしまう、別に戦うわけじゃないんですけど、その笛に自分たちのプレーが影響されてしまうことが多かったんです。
ですが、今年になって、そこでの冷静さや勝負強さというのができてきたのかなと思います。なので、ああやって自分がちょっと納得いかないという時も、周りの選手やチームがより冷静に『次、次!』と言ってくれるので、自分はすぐ切り替えができました。そういうのが今、チームの強さとして出ているのかなと思います」。
J:よくハドルを組んだり、ベンチからもすごい声が出ていたりというのは、昨シーズンもあったと思いますが、今シーズンも良く見られる光景ですね。
アヴィ
「去年も結構、やっぱり昨シーズンにすっさん(須田選手)が入ってきて、そのあたりというのはよりチームとして意識していました。
去年もしっかりいい方向に行っていたので、チームとして成長していたと思うんですけど、それが今年になってより大きくなってきたのかなと思います」。
ファイナルへ
役割を理解し、徹底し、すべてを出し切る。シェーファーアヴィ幸樹が示したのは、一発勝負で勝つための“基準”だった。派手さではなく、球際とリバウンド、そして一つひとつのポゼッション。その積み重ねが、シーホース三河をファイナルへ導いた。
頂点を懸けた舞台でも、その姿勢は変わらない。「すべてのポゼッションを取りにいく」その覚悟が、次の40分でも三河の背骨になる。



