
Scene|今、このチームとともに
昨季の悔しさを糧に、千葉ジェッツが再びリーグの頂点を目指して走り出した。
14勝1敗(勝率.933)でB1東地区堂々の1位となっている。
📊 金近廉|2025-26シーズン スタッツ(第9節時点)
•平均得点:5.1点
•フィールドゴール成功率:46.6%
•3P成功率:43.2%
•フリースロー成功率:75.0%
•リバウンド:1.3本
•アシスト:1.1本
•スティール:0.4本/ブロック:0.3本
金近は派手な数字で目立つタイプではないが、高確率のシュートと安定したディフェンスで、チームのバランスを支える“静かな軸”となっている。3ポイント成功率43.2%という数字は、彼のリズム感と精度の高さを物語っている。
だが、千葉ジェッツの真の強さは数字の先にある。試合の流れを読む判断力、終盤での集中力、そして勝負どころで確実に決め切る“勝ちグセ”。
その総合力の中で、金近廉は「流れを変えられる選手」として確かな存在感を放っている。
Moments|新たな挑み
金近廉
2003年3月11日生まれ 22歳/大阪府出身/197cm・98kg
ポジション:SF
所属:千葉ジェッツ(2023年〜)
2022-23シーズンに加入し、翌シーズンに正式契約。
プロ1年目から高い完成度を見せ、2023-24シーズン B.LEAGUE 新人賞(ROOKIE OF THE YEAR)を受賞。
これまでにアンダーカテゴリーの各世代日本代表として国際舞台を経験し、2023年FIBAワールドカップ予選でA代表デビュー。そして2025年FIBAアジアカップにも選出され、2027年ワールドカップアジア予選window1日本代表合宿にも招集される。トム・ホーバスHC体制の中で着実に信頼を積み重ねている。


🎙 試合後コメント(11/9 SUN|第9節 GAME2)
🏟 ららアリーナ東京ベイ
千葉J 96-82 島根/金近廉 11得点
「出だしは少しディフェンスのミスが多くて、岡田選手のところを全員で守る意識を持っていましたが、他の選手で崩されてしまいました。ローテーションやインサイド対応に課題がありましたが、後半はオフェンスのリズムを掴めて逆転できたのは収穫。去年とは違う“タフさ”を感じています。」
「シュートが入る入らないで評価が決まってしまうのは、正直、難しい部分でもあります。でもそれだけで判断されたくはないと思っていて。
ディフェンス面はプロに入ってからずっと意識して取り組んでいて、だいぶ慣れてきました。ただ、外国籍選手のパワーの中でプレーするようになり、高校や大学の頃にやっていたような“アグレッシブさ”やリングへ向かう姿勢が、いつの間にか薄れていたんです。でも今は『もっとできる』と思ってますし、このレベルの中でもリングにアタックすることが、自分の成長に絶対必要なこと。
練習と試合の積み重ねで、そこは少しずつ良くなっていると感じています。」
J:アグレッシブなプレーを見ていて感じます。役割というのをもう少し教えてください。
金近:
「そうですね。勇樹(富樫)さんや外国籍選手に比べると、相手からの優先順位はまだ低いと思うんです。
だからこそ、今日のようにピック&ロールからのプルアップスリーや、そこからのアシストなど、比較的自由にできる場面があると思っていて。
最近はヘッドコーチも、僕が出ている時にボールを触るプレーを指示してくれることが増えました。リク(瀬川琉久)と出る時間も多いので、もっと要求し合いながら良いプレーを作っていきたい。そうして信頼を得ていければ、外国籍選手との連携もより自然に広がっていくと思っています。」
J:勝負強さ、スイッチが入る時は?
金近:
「特別意識しているわけではないですが、入らなくても打たないと意味がないと思っています。
多少チェックがあっても打ち切る意識を持つ。昨日入らなくても、打ち続けたことが今日の感覚に繋がりました。1試合ごとでなく、シーズンを通して“打ち切る姿勢”を貫くこと。空いたら迷わず打つ。今はそこを意識しています。」

「シーズン前に安藤誓哉さんとご飯に行く機会があって、
“もっとできると思うよ”って言われたんです。
同じチームメイトの先輩って、なかなか恥ずかしいところあって言わないと思うんですけど(笑)。誓哉さんはフラットな目線で、いろんな話をしてくれました。
対戦相手としても去年、島根戦でキャリアハイを取っているので、その流れもあって“もっとできる”と。その言葉で自分の中の意識が変わりました。
また、GMの池内さんとも食事をして、“これからのキャリアの中で、もっとできることを探し続けてほしい”と言われました。そういう言葉があって、自分も挑戦する気持ちを取り戻せたと思っています。」
「日本代表に関しては、Bリーグでまだまだ結果を残せていない中で選んでもらっていることに、すごく感謝しています。
代表のバスケットはBリーグとは少し違っていて、役割も幅広くなると思います。
例えばビッグマンを守る場面も出てくるかもしれません。でも、Bリーグで積み重ねてきた経験を自信にして、代表の舞台でもしっかり表現したいです。」


Beyond Game|静かに燃える、その先へ
金近のプレーの根底にあるのは“間”と“知性”。速さではなくリズムで勝負し、止まることで流れを変える。そして、チームの呼吸を整えるように動く。
課題は、フィジカルコンタクトへの対応と試合全体の安定感。強度のある相手に当たられても崩れない強さ、重い展開でもリズムを保つ冷静さを磨くことで、金近は“チームの軸”へと進化していく。
U世代からA代表、そして2025年アジアカップ予選。彼の歩みはまだ途中にある。静かな表情の奥には闘志と探求心が共存し、勝負どころで止まれる冷静さと、打ち切る勇気がある。
止まれる技術、タイミングを読む知性、そして勝負どころで見せる落ち着きと情熱。
金近廉は、千葉ジェッツの未来を照らし、日本バスケットボールの“次の時代”を切り拓く存在だ。
Jbasket視点
止まることを恐れず、流れを感じ、そして挑戦を続ける。金近廉のプレーには、言葉にならない“間”の美しさがある。速さだけでは届かない世界で、彼は静かに熱を放ち、仲間とともに未来を描いている。
その姿は、まさに「Scene」「Moments」「Beyond Game」試合の中の一瞬が、次の時代の物語へとつながっていく。
