
インターハイの悔しさを胸に。日清トップリーグで磨かれた司令塔の現在地と、ウインターカップへの挑戦/先輩 瀬川琉久(千葉J)との関係、ファンへの想い
8月から11月、約3か月にわたって全国の強豪校がぶつかり続けたU18日清食品トップリーグ2025。育成と強化をテーマに掲げるこの長期リーグは、単なる勝敗ではなく、どれだけ選手とチームがアップデートできたかが問われる特別な大会であり、また、多くのバスケファンが集まる最高の舞台となっている。
最終日は、早い時間帯から会場が埋まり、拍手と緊張と期待が混ざり合う空間の中で、東山高校のエースガード 佐藤凪(3年)は、オールコートで強く、アグレッシブなプレイでその存在感を放っていた。インターハイの悔しさからの3ヶ月間、個人では海外イベントにも参加、そして国内では日清食品U18トップリーグでの成長を経て、最後となるウインターカップへ、必ず掴みたい悲願の優勝へすべてが繋がる時間となるだろう。
2025年インターハイ、東山はベスト8。3回戦で中部大第一を 83–63 で破り、第3Qの29得点は、東山が持つ走力と破壊力をそのまま示す時間となった。その中で佐藤凪は17得点・5アシスト。テンポと判断で試合を動かし、東山の速さを成立させた。だが準々決勝。仙台大明成との戦いは 71–75。わずか4点、しかし重い4点だった。プレッシャー下での判断の遅れがあったのかもしれない、終盤の意思統一の難しさ、40分間の揺れを埋めきれなかったということになってしまう。それでも、佐藤凪は、悔しさと同時に、「ここを越えれば全国の頂点に届く」という確信を残す試合ともなっているはずだ。
日清トップリーグは、インターハイの課題をそのまま試せるステージ。強度、スカウティング、当たりの継続時間。その中で佐藤凪は、司令塔として確実に階段を登っていった。
試合を作るガードへ。速める、抑える、ズレを作る。単なるトランジションではなく、試合の呼吸そのものをコントロールするガードへ。先を読み、攻撃のテンポを組み立てる判断の質が格段に上がった。
ディフェンスからも牽引する。1on1の粘り、前からの圧力、読みの鋭さの他に、東山が走り始める最初のスイッチは、佐藤凪の最初の一歩だ。試合の流れを自分で変えられるガードは、高校バスケでも希少だ。
リーダーとして強くなった。ミスの後、リズムを失った時間、試合に飲まれそうになった瞬間に、声をかけ、仲間を支え、空気を変える。東山の主軸としての自覚は、確実に深まっている。そこに楽しんでいるかのようにコートで躍動する姿がある。
佐藤凪、2026年スラムダンク奨学金で渡米へ
佐藤凪は、2026年にスラムダンク奨学金でアメリカへ渡り、渡邊雄太も通った名門セントトーマスモアスクールへ進むことが決まっている。井上雄彦氏が設立したこの奨学金は、日本の高校生が本場に挑むための大きな門だ。速い展開で磨いた判断力やテンポ、自分らしさをさらに高いレベルで伸ばせる絶好の環境となる。「渡米前の最後の大会」と語るウインターカップは、その覚悟を示す舞台となる。
そして、その想いをJbasketインタビューで語ってくれた。


J:瀬川琉久選手とは最近話してますか
佐藤「もう本当に、週に1回とか、月1とかで電話したりLINEしたりやり取りしてるんで(笑顔)、今でも仲良くしてもらってます。
実際に遠いので会うことはなかなかできないんですけど、たまに自分が帰ったときは、ご飯連れて行ってもらったり、仲良くさせてもらってます。自分がなんか相談ある時は「相談があるんですけど」みたいな感じで話すんですけど、結局バスケの相談しても、最後はほんとしょうもない、たわいもない話になりますね(笑顔)。でも、自分が悩んでる時だったりは、琉久さんは本当に向き合ってくれる。なんて言うんだろう。切り替えさせてくれるというか、ほんとにポジティブにさせてくれるので、ほんとに素晴らしい先輩だと思ってます。」
J:佐藤凪ファン・バスケットファンへ
佐藤「いつもたくさんの応援ありがとうございます。ほんとに自分のSNSだったりに届いてますし、それが本当のモチベーションになって頑張れてます。
残りウィンターカップだけになるんですけど、これからも応援よろしくお願いします。」
Jbasket AND1
https://jbasket.bitfan.id/contents/322830

参照:ウインターカップ2024 佐藤凪Jbasketインタビュー🎙️

インターハイと日清トップリーグを合わせたこの半年の軌跡は、課題をより明確に、より深くした。
シュート精度の安定化。苦しい時間帯ほど必要なのは、打つ勇気と、打つべきショットの選択。東山が勝ち切るためには、この精度が要になる。昨年の東山には1人で40得点をあげ圧倒的なオフェンス力の瀬川がいた。共に優勝を目指して戦ってきた。東山のエースを引き継ぐ。強度高い相手への判断。インターハイ準々決勝と今大会で最も露呈したテーマ。プレッシャーが強くなるほど、その視野と判断が試される。
チームで40分間の自分たちのバスケットを
東山の走るバスケを、最初から最後まで続ける司令塔力。数分の揺れが、全国大会では結果を左右する。この継続性は、ウインターカップで勝ち切るための絶対条件だ。弟・#14 佐藤久遠(1年)の存在。この兄弟が、東山の今と未来をつないでいる。久遠はまだ1年生だが、兄の背中を見て学び、兄が背負う責任の重さを一番間近で感じている。凪が声を出すと、久遠もその方向を見る。凪が悔しさを噛みしめると、久遠もその痛みを共有する。兄弟の共鳴は、東山の雰囲気を柔らかく、強く、兄弟の中に確かに息づいている。

インターハイで残した悔しさ。
日清トップリーグで刻んだ成長。
弟との時間が生み出した静かな推進力。そのすべてを胸に、佐藤凪は高校バスケ最後の大舞台・ウインターカップへ向かう。
東山の挑戦は、佐藤凪の挑戦であり、佐藤凪の挑戦は、東山の未来そのものだ。冬の頂点へ。彼岸の優勝へ向けてどこまでチームを引き上げるのか。その答えは、コートの上で語られる。

