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【ウインターカップ】井手口孝コーチ(福岡第一)激闘の裏にあった選択と葛藤 指揮官が明かすウインターカップ

【ウインターカップ】井手口孝コーチ(福岡第一)激闘の裏にあった選択と葛藤 指揮官が明かすウインターカップ

ウインターカップで東山と対戦し、
激闘の末に大会を終えた福岡第一。

12/28(SUN)
男子セミファイナル
福岡第一 58-72 東山

高い強度のディフェンスで食らいついた一方、終盤はガード陣の疲労やオフェンスの精度が影響し、あと一歩届かなかった。
試合後、井手口コーチは佐藤凪、中村颯斗という東山の軸への対応、終盤の選手起用、そして流れを引き寄せきれなかった要因について率直に言葉を紡いだ。

さらに、留学生の離脱や負傷者を抱えながら迎えた今大会までの2カ月間のチーム作り、宮本兄弟を同時起用した意図、そして来季を見据えた展望にも触れている。
指揮官の言葉から浮かび上がるのは、勝敗だけでは測れない現実と、このチームで戦い抜いた理由。福岡第一がこのウインターカップで積み重ねたものが、そこには確かに残されていた。
試合後、井手口コーチは目を赤くし、時折涙をにじませながらも取材に応じてくれた。

井手口コーチ
東山戦の試合終了直後に
「疲労がね、ディフェンスを頑張ってて、ガードがちょっと疲労するので、うまく回しながらやっていく上で、ちょっと今日は、寿と銀になった時に、ちょっと精度とベースが少し下がっちゃいましたね。このまま変えずに最後まで行かせようかなと思ったんだけど、聡と耀に変えて、ちょっとあそこが難しいとこだったなっていう感じですね。」

J:佐藤凪選手を徹底的に抑えようとしてきて、最後は難しかったですか

井手口コーチ
「やっぱり自分たちのオフェンスがちょっとうまくいかなくなっての最後ですね。うまくシュート打たせてしまったのがダメでしたね。」
「凪くんと中村くんのところも比較的守った方だと思いますけどね。点が取れなかったですね。オフェンスがまだまだというか、ね。マサンバのインサイドもこれからですね。それはしょうがないですね。藤田のリバウンドのとこを鈴木くんにしっかりボックスアウトされて、そこはやっぱりやられてしまいました。」

東山のディフェンスについて
「強いです。なんていうか、今までの東山さんに比べるとって言ったら失礼だけど、ディフェンスが良くなってますね。」

東山のオフェンスについて
「凪くんの3ポイントを消そうと。それでドライブとかをもうちょっとセンターの子がブロックショットとかをできる予定だったんですけど、ちょっとそれが中途半端になって。でも、2点とられるのはしょうがないかなっていうとこもありましたけどね。また、中村くんのとこは結構ディフェンスがついてたので、失点的には、最後のドタバタでは点は取られたけど、まあまあ、、、東山のオフェンス力からすると、ちゃんと取られた点数ってのはそうでもないので、ディフェンスはまあまあ良くできたかなという気がしますね。」

J:色々あったこの2ヶ月でしたが、難しかった点と良かった点を教えてください

井手口コーチ
「難しいのは、いろんなことがあって、ムサがいなくなったこともあるけども、それ以外にも色々とちょっと、うん、ありましたね。最後は、トンプソンが昨日ちょっと怪我しちゃって、最後の最後にね、今日出したけど、ちょっと、シュートも最後届かなかったんで、前日にちょっと手をついてしまって、厳しかったけど、そのぶん、長岡が3ポイント入ったので、プラスマイナスが、0かなという気がします。」

「もちろんチームがいい状態であればね、当然優勝狙って県大会で大濠さんに勝ったようなバスケットができたわけで。ただ、やっぱり本当の意味でのシュートを決めきれる子というのを育てることができなかったかなという。いい時は入って、ダメな時はダメというように、ちょっと安定してない、それと合わせてインサイドがちょっと全く点が取れないっていう中ではね、よくここまで頑張ったと思いますね。」

宮本兄弟を2人同時に起用してきたことについて
「常識的にはああいう小さな選手を同時に使うってのは、ちょっとなかなか難しいことでしょうけど、やっぱり何よりも頑張ってますからね。しっかりチームを、プレーはもちろんそうですけど引っ張ってくれたので、特に聡は、キャプテンとして1番声を出して、日頃の練習中もそうですけど、自分のチームだって言ってきて、このチームが合ってるんじゃないのかな。ああいう子たちがこれから大学バスケでどう通用していくかっていうのも今ちょっと楽しみにはしてますけども、楽しみと心配とちょっとありますね。」

その福岡県予選で大濠を制し優勝した要因にいろんなこうこうついて
「無心でしょうね。勝とうっていう気持ちではなくて、やらなきゃみたいなね、やっぱりそれで勝ってしまって、やっぱり勝てるんだみたいな、そういう気持ちが起こると、人ってのはやっぱりね、それが隙になったり、弱さになったりしたのかなと思います。そこにもう1回持ってこれなかったのは、ちょっと僕の力のなさかなと思ってます。」

トップリーグからどう立て直してきたのか
「トップリーグの最後の時に、ちょっとやっぱりムサがいなくなったことで、色々戻ってくる努力も、僕も懸命にやったんですけど、なかなかうまくいかなくてね。そこからマサンバの復帰が1月ぐらいに復帰かなという予定でいたのを、こういう状態だからちょっと無理させてやってくれたのでね。2年生のイブラヒマの2人を併せてやるのか、また、留学生なしでやるのかっていうのも随分3年生と話をしました。こういう戦いになった時に留学生がいないっていうのは、もしかしたら初戦ぐらいから勝負にならないだろうというのがありました。その判断は間違ってなかったなと思うんです。3年生がセンター陣をよく頑張らせてくれたと思います。」

「3年生もだし、スタッフの先生方も、どちらかと言うとちょっと反対でしたね。やっぱり3年生に負担がかかりすぎるということでね。だけども、やっぱりここ20年このスタイルでやってきて、僕はここでちょっと変えるのはできなかったなと思いました。
それをデビシーとハンソンに背負わせるのもちょっと時間が足りないかなと思いました。今回はこれで行くという出発の前日ぐらいに決めました。20名登録になって難しくなってるんですね。だからムサも入れていたのは20名をとりあえず1ヶ月前に登録しなきゃいけない。そうすると、マサンバが間に合うかどうかもわからないけど、とりあえず入れとかなきゃいけない。そうすると、3年生がそこからはじき出される子がいる。
だから、1ヶ月前に出れないってわかってるけども、練習一緒にさせながら、最後の最後の前日に15名っていうのを決めるんだけども、その決め方も今回みたいに怪我だとか何とかあるときに難しかった。そこでチーム作りが遅れたという気がします。
ここに来てからも日体大と練習ゲームしてもらったり、比較的調整もできて、いい面も出たかなと思います。」

J:ここ最近色んなチームが様々なディフェンスをやってくる時に、オフェンスでどんなことを意識されてますか

井手口コーチ
「やっぱりシュートですね。シュートが入るっていうのが前提で、そうするとペイントアタックできるんだけど、シュートが入らないと、ディフェンスはどんどん狭くなるしで、よりアタックができなくなってしまう。留学生みたいな大きい子がいると、もうオフェンスのしようがなくなりますよね。だから当たり前だけど、外角がコンスタントに入ってる試合ってのは、やっぱりどこも強いですよね。なので、シュート力を鍛えるというか、シュート力のある選手を育てるというか、連れてかなきゃダメでしょうね。」

J:さらに先生の強い気持ちを加えて戦っても結果を出すことはなかなか難しいんですね

井手口コーチ
「そうですね。やっぱりね、凪くんや中村くんもシュートが入りますもんね。やっぱり入るんだなシュート……。シュートが入らないとダメだなというのはちょっと思ってます。シュートはなかなか鍛えてもなかなか来ないんでね。鍛えるだけではなかなかね。」

J:このウインターカップを勝ち抜くために必要なことや魅力を教えてください

井手口コーチ
「やっぱり全てですね。このメインコートの雰囲気だとか、全てがもう高校生には贅沢すぎるような素晴らしい大会ですよね。実は、10年続けてメインコートには来れたんです。10年連続、考えてみたらずっとメインコートで、それはそれで最後に、高校バスケットの場合はこういう場所しかないじゃないですか。1回戦、2回戦っていうのはもう多面展開でね。これをなんとかやっぱり常に、メインコートでやれるような文化になるといいなと思ってるんです。それをここでやっぱり最後やらせられるっていうのは、できれば最終日までやらせたいなっていう気持ちはありますけど、やっぱりもう何の大会よりもウインターカップっていうのをちょっと目指して、来年の最終日まで頑張れるように。365日ですね。」

J:井手口コーチをいつも楽しみにしている方々へ

井手口コーチ
「ファン? まあまあ…いつもありがとうございますね(笑顔)。もうそろそろ終わりが近づいてますからね。今年ね、優勝して終わりたかったですけど、もう1回ぐらいチャレンジして頑張りますので。」

勝敗の裏側には、数字には表れない選択と葛藤があった。限られた戦力、度重なるアクシデント、および一瞬の判断が結果を左右する舞台で、福岡第一は最後まで「自分たちのバスケット」を模索し続けた。
井手口コーチの言葉が示していたのは、敗戦の悔しさだけではない。
長年にわたり高校バスケットと向き合い、選手を育て、勝負の厳しさと魅力を伝えてきた指導者としての時間そのものだった。

その積み重ねは、福岡第一だけでなく、高校バスケット界全体に確かな影響を残している。
「もう一回ぐらいチャレンジして頑張りますので」。
そう語った指揮官の視線は、すでに次の世代へと向けられていた。井手口コーチが築いてきたもの、そして福岡第一の挑戦は、これからも高校バスケットの中で受け継がれていく。

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