
「ラッシHCのバスケットにどれだけ共通理解があるか、チームでもっと共有する必要がある」理由
横浜ビー・コルセアーズは、10試合を終えて4勝6敗。東地区9位。この数字だけを見れば、苦しい序盤戦に映る。だが、ラッシ・トゥオビHCの言葉に耳を傾けると、そこにはチームをもっと根本から変えようとする確かな意志が見えてくる。
安藤にとって、新しいシーズン、新しい指揮官。ラッシ・トゥオビHCの下で始まった横浜ビー・コルセアーズの挑戦。その中心で、安藤は何を感じ、何を見ているのか。
10月29日広島に敗戦後に安藤は静かにJbasketインタビューに語った。
「再現性が大事だし、もっと良くなる、方向性は間違っていない」
「小さくても、与えられているミッションをしっかりと遂行していくことが大事」
「人とボールがより動くことで、相手に絞らせないチームオフェンスをしたい。止めることによって変化をつけられればなとは思っています。速いだけだと慣れるし、遅いだけでも慣れる。やっぱり強弱が大事。」
スピードとストップ、走ると待つ。
その“間”を読む力こそ、安藤誓哉が持つ最大の武器だ。ラッシHCのスタイルの中で、彼はテンポを自在に操る。チームが揺れる時間帯でも、冷静に呼吸を整え、リズムをつくり直す。
安藤のプレーは、ボールを持っていない瞬間にも意味がある。視線、ステップ、間合いがチーム全体のリズムを生む。「今は内容も大事にしている。方向性は間違っていない。」横浜ビー・コルセアーズの未来を見据えている。
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 今夏adidasキャンプにて
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横浜ビー・コルセアーズを率いるラッシ・トゥオビHCが語るバスケットには、一貫して「強度・継続・修正・信頼・理解」という5つの軸が流れている。それは、勝敗を超えたチーム哲学であり、誠実な“進化するバスケット”だ。
安藤がJbasketインタビューの時にコメントした、ラッシHCのバスケットを共有することの大事さを教えてくれた。
そのラッシHCのバスケットとは,どんなバスケットなのか。ラッシHCが常々言っている言葉からも推敲してみる。

① 「強度」常にやるべきことをやる
「リードされても我々がやらなければならないこと、ディフェンスの強度を上げることなど、我々がやりたいことがしっかりとできた。」
「前半は我々のやりたいことができていたが、後半で相手がなぜリーグトップのオフェンス力なのかを思い知った。」
ラッシHCの指導の根幹にあるのは“強度(Intensity)”。試合の流れに関係なく、やるべきことを遂行し続ける力。
一時的なリードや点差ではなく、プレーの質と強度を保ち続けることを最も重視している。
② 「継続」40分間の集中を途切れさせない
「35分はリードしていたが、コンスタントじゃない時間帯もあった。」
「アップダウンの激しい試合で、25分以上リードしていたにもかかわらず勝ちを逃してしまった。」
ラッシHCは“波のないチーム”を理想とする。リードしても油断せず、ビハインドでも崩れない。強度を40分間保つことが、勝敗よりも大切だと考えている。彼の試合後コメントには常に「続ける」「コンスタントに」という言葉が並ぶ。
③ 「修正」敗戦を通して成長する
島根戦後には「島根さんは素晴らしい試合をした。水曜日の敗戦から様々な修正をして準備してきたが、13点差をつけられる中で、自信を少しなくしてしまった時間帯があった。こういった形での敗戦は非常に悔しい。準備不足ではない。いろいろと考えていきたい。」
「昨日の敗戦から今日の試合に向けて、どのようにやっていくかを理解しながら挑んだが、最終的に負けてしまった。」
ラッシHCは、敗戦を“否定”ではなく“学び”として捉える。試合後のコメントで繰り返される「考えたい」「分析しなければならない」という言葉には、チームの課題を前向きに修正しようとする姿勢が表れている。
④ 「信頼」選手を信じ、文化を築く
「チームは全力を尽くしている。出だしが足りなかった部分もあったが、選手は懸命にやってくれる。
リードされても諦めずに、追いつこうとする姿勢を見せてくれる。原因はひとつではないけれど、彼らの努力と姿勢には心から敬意を感じている。」
どんな試合後でも、ラッシHCは選手を批判しない。責める代わりに、選手を信じ、努力を称える。この「信頼」は、フィンランド代表でも貫いてきたスタイルだ。
信頼があるからこそ、選手たちは全力を出せる。チームの成長は、コーチの信頼の上に成り立っている。
⑤ 「理解と共有」お互いを知ることで強くなる
「お互いもっと知らないといけない。安藤選手を含めて、新しい発見が得られる。これから相手もゾーンを使ってくる中で、どう得点していくかを考えていきたい。」
ラッシHCの理想は、“理解でつながるチーム”。選手同士が互いを理解し、役割を共有し、状況に応じて助け合う。
それは戦術以上に大切な要素であり、“共通理解”こそがチームの本当の強さだと信じている。
強度を持って戦い、40分間集中を切らさず、
負けても修正し、信頼で繋がり、互いを理解してチームとして成長すること。
冷静で、誠実で、タフ。いまの横浜は、結果だけ見れば苦しんでいる。だが、ラッシHCの言葉を読み解けば、その裏側に確かな意志が見える。
「準備不足ではない。いろいろと考えていきたい。」
「我々がやらなければならないことを続ける。」
Jbasketが見るこの横浜には、確かに課題がある。だが同時に、信頼をベースに、互いを理解し、バスケットの本質を共有していける選手たちが集まっている。
安藤が語った通り、横浜はまだ途中段階にある。だがその表情には、確かな手応えと期待が宿っていた。チームが“共有する力”を高めたとき、横浜は更に変わる。ここからが楽しみになる。
