
「ここから上げていきます。頑張ります」
10代から期待を集める素顔/デニスHCが語る期待と課題
第21節横浜ビー・コルセアーズ戦で、小澤飛悠は得意のシュート力、3ポイントシュートでチームに力を与え、勝利に導いた。将来に期待される小澤は、どんな道のりを歩んできたのか。そして、ここからの期待と課題は何なのかを考察する。
世界大会キャプテンが挑む
層の厚いウイング陣での現在地
今季ここまで小澤飛悠は、31試合に出場し、平均10分28秒のプレータイムの中で
4.5得点/FG成功率34.0%/3P成功率28.6%/FT成功率80.0%
を記録している。
決して派手な数字ではない。
だが、限られた時間の中でスペーシングを保つ3ポイント、キックアウトからの即判断といった役割は明確だ。
層の厚いウイング陣の中で「何を求められているのか」を理解し、その一点に集中する。今季のスタッツは、そんな“プロ1年目の現在地”を映し出している。
結果だけでなく、国際舞台で責任を背負い、チームをまとめ上げた経験は、彼のキャリアを語る上で大きな意味を持つ。
中部大学第一高校から日本体育大学に進学。中部大学第一高校時代にU18男子日本代表として『FIBA U18アジア選手権2022』準優勝に貢献し、FIBA U19ワールドカップでは、日本代表キャプテンとしてチームを牽引し、日本史上初となるベスト8進出を成し遂げた。
実績を持ち、日体大進学後も主力として活躍。インカレではチーム最多となる2戦合計42得点をマーク。『2024年度男子日本代表チーム ディベロップメントキャンプ』にも招集され、2025年1月にはシーホース三河に練習生として加入した。その後大学を辞め、プロ選手として名古屋ダイヤモンドドルフィンズに入団した。

小澤にとって、そこは「楽な環境」ではない。
そして今シーズン開幕戦から出場。
名古屋Dは現在、西地区2位に位置し、優勝を目指す強豪チームだ。
今季の名古屋Dは非常に選手層が厚い。リーグ屈指のスコアリング能力を誇るアーロン・ヘンリーを中心に、フィジカルとサイズを兼ね備えたスコット・エサトン、カイル・リチャードソン、さらに経験豊富な選手たちがローテーションを形成する。
むしろ、日々の練習から試合と同等、あるいはそれ以上の強度が求められる場所だ。
また、日本人選手では高校の先輩である張本天傑、日本代表経験のある今村佳太、大事な場面で力を発揮する中東泰斗、そして、現在日本代表ポイントガードの齋藤拓実がいる。
そういったウイングの選手たちと毎日のようにマッチアップしていることは、小澤にとって本当に大きい。リスペクトできる選手が多いというのも、この環境を選んだ理由の一つだと言っていた。なにより、日本代表になることを目標にしている小澤にとって、素晴らしい環境だ。
世界大会では“任される側”だったキャプテンが、Bリーグではまず“勝ち取る側”として挑んでいる。
役割、出場時間、マッチアップ。すべてが簡単ではない中で、小澤は特に、ディフェンス、オフボールの動き、トランジションへの参加など、目に見えにくい部分から自分の価値を積み上げている最中である。
若きウイングが、層の厚いローテーションの中で何を学び、何を掴もうとしているのか。そのプロセスこそが、次のステージにつながっていく。
2月1日の横浜ビー・コルセアーズ戦では、3ポイント3本を含む10得点とチームの勝利に貢献。小澤らしい天性のシュート力を魅せた。
Jbasketは、その過程と変化を見つめていく。
J:シュートタッチの感覚と、今後ディフェンスの強度を上げたいと思っている中での今シーズンの気づきを教えてください。
小澤
「そうですね。今日のモチベーション的には、Bリーグドラフトがあって、仲良い人たちがBリーグに行く中で、自分も頑張らないとなっていう刺激をもらったのが一つです。
ディフェンスの面では、自分のところでエラーが起きちゃうのは仕方ない、と。ショーン(HC)と話した時にも、『ヒユウが試合に出る時には、オフェンスでインパクトを与えてほしい。ディフェンスのところでナーバスになっちゃうこともあると思うけど、オフェンスにフォーカスして出てほしい』と言われて、そこでちょっとマインドがクリアになった感じです。オフェンスのタッチは、これからさらに伸ばしていきたいです」
「一番準備している自分」でいるために
プロの世界では、すべてが思い通りにいくわけではない。小澤飛悠は、迷いが生まれたときこそ「準備量」で自分を支える。
「『ここで打っていいのかな』『自分が出ても大丈夫かな』と弱気になる時もあります。でも、それをなくすために『自分が一番準備している』という気持ちを大事にしています。誰よりも試合のことを考えて準備してきたと自覚することで、自信を持ってコートに立てるよう意識しています」


ショーン・デニスHC。
小澤飛悠の課題と希望を聞いた。
12分間の出場で3ポイント 3/4、2ファウルドローと効率的だった点については、
「もし明日も同じことができれば、彼はナショナルチーム(日本代表)の選手になれると思います。ただし、現時点ではそれを2試合連続でやり遂げられていません。彼のポジションで代表を目指すなら、シュート確率を50〜60%で維持することが求められます。
まだ課題はありますが、彼の努力や“バスケットを愛している”姿勢は、プレー中の笑顔からも伝わってきます。今日は相手に、守備を捨てられていた部分もありましたが、明日はより厳しいマークになるでしょう。その中で、オープンを作り、シュートを決め切れるかが重要です」
J:小澤選手のディフェンスとチームバランスについて、今シーズン掲げてきたものは“今”どうでしょうか。
デニスHC
「チームにはよく溶け込んでいますが、ディフェンス面はまだ時間が必要です。得点している時はミスが目立ちませんが、本人も課題は理解しており、ウェイトトレーニングやコンディショニングに真剣に取り組んでいます。
スクリーンへの対応やアングルの作り方など、覚えることは多く、最低でも2年はかかるでしょう。代表を目指すなら、国際試合のフィジカルな強度への対応も不可欠です。それでも、彼なら乗り越えられると信じています」
Jbasket的には、
「結果を出した1試合」ではなく「再現性を持った2試合目」。そしてオフェンスの輝きと同時に問われるディフェンスとフィジカル。
ここをどう積み上げていけるかが、小澤飛悠は次のフェーズに入っていることを感じた。
確率を上げるための“細部”への意識
シュートの安定感は、日々の積み重ねから生まれる。キャッチ・アンド・シュートの確率向上の裏には、下半身とフットワークへの地道な修正があった。
オールスター期間の試合間隔を利用し、スキルコーチとともにステップの切り方を徹底的に見直した。特に、シュートがショートになりやすかった要因に向き合い、下半身の使い方を重点的に改善。小さな修正の積み重ねが、試合の一本につながっている。
強豪・名古屋Dで積み上げる日常
小澤が名古屋Dを選んだ理由は以前に聞いた、「最も成長できる環境」だった。
プレータイムが限られる試合もあるが、日常の強度は極めて高い。ディフェンスの強度、判断の速さ、オフェンスの組み立てを日々体感している。
現在リーグ上位を走る名古屋D。その強さの根底にあるのは、個々の意識の高さだ。悪い流れを感じた瞬間に、誰かが声を出し、空気を変える。
練習から当たり前のように行われるその積み重ねが、試合での粘り強さにつながっている。
ルーキーとしてその姿を間近で見ながら、小澤は「この環境で積み上げた経験は、必ず将来の自分の糧になる」と確信している。




世界大会で“任される側”だったキャプテンは、いまBリーグというリアルな現場で、“勝ち取る側”としての時間を積み重ねている。
派手な数字よりも、限られた時間の中で何を残すか。
オフェンスでの一瞬の判断、スペーシングを保つ一歩、そしてディフェンスとフィジカルの積み上げ。そのすべてが、小澤飛悠の現在地を形作っている。
結果を出した1試合ではなく、
再現性を持った「次の1本」。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズという高い強度の日常が、その精度を静かに押し上げていく。小澤飛悠が、この環境で何を掴み、どんな選手へと進化していくのか。
Jbasketは、その過程と変化を、これからも見つめ続けていく。

