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【ウインターカップ|DAY3】“今”を刻む 高校トップクラス 白谷柱誠ジャック(福大大濠・1年)と庵原有紗(航空北海道・3年)

【ウインターカップ|DAY3】“今”を刻む
高校トップクラス 白谷柱誠ジャック(福大大濠・1年)と庵原有紗(航空北海道・3年)

勝ち上がる者、そして敗れながらも次へ向かう者。ウインターカップDAY3には、それぞれ異なる「現在地」が刻まれていく。
男子では福大大濠の1年生・白谷柱誠ジャックが成長の一歩を示し、女子では日本航空北海道の庵原有紗が、集大成の舞台で最後まで責任を背負い続けた。
立場は違えど、2人に共通していたのは、「今」を真っ直ぐに受け止め、次へつなげようとする姿勢だった。

男子|注目選手
白谷柱誠ジャック(福大大濠・1年)
13得点・16リバウンド
2回戦|12/25 福大大濠 99–62 羽黒

 Jbasket インタビュー🎙️
日本のバスケットボールの未来を担う存在が、東京体育館のコートに立った。
福大大濠の1年生、白谷柱誠ジャック。
前日の課題と正面から向き合い、修正点をプレーで体現したこの一戦は、結果以上に“成長の現在地”を感じさせる内容だった。

「昨日以上に自分たちらしさを出せた」と振り返り、外のシュートには課題を残しつつも、「走り切る部分はできている」と前向きに受け止めた。前日の悔しさを胸に決めたダンクには、「今日は絶対にやってやろうと決めていた」と笑顔を見せ、内容と結果の両面で次につながる一戦だったことを強調した。

J:今年高校生になって、いろんなイベントがあって覚えることもたくさんあると思います。夏には名古屋で八村選手のキャンプもありましたが、シュートや体の使い方など、この数か月で意識してきたことは

ジャック
「チーム全体としては、プレーの強度というところが普段の練習から上がっていたので、自分もそこに追いつくように頑張ってきました。
シュートの部分に関しては、キャンプ以降、自分が意識して練習してきた部分もありますし、試合でしっかり試したいと思っているので、シュートを打ち切るという部分は変わってきたと思います。」

J:ディフェンスでは、上の世代と比べてサイズダウンしている中で、細かい動きやスイッチした時の対応はどうですか

ジャック
「中学の時から、自分より小さい選手やガードの選手とマッチアップする練習をしてきた部分もあると思うので、そこをしっかり発揮できたらなと思います。」

J:本田蕗以選手(24得点・7リバウンド)と2人で、オンコートでもオフコートでも、どんなことを意識したり話したりしていますか

ジャック
「いい関係だなと感じています。
練習中はお互いライバルとして高みを目指していますし、試合中はお互いのいいところを生かしながら、自分たちが得点源になる試合も多いと思うので、そこはしっかり協力して頑張っていきたいです。」

そして試合後、Jbasketは指揮を執る片峯コーチに、オフェンスとディフェンスのバランスについて話を聞いた。

片峯コーチに聞く
Jbasketインタビュー🎙️

J:本田蕗以選手と白谷柱誠ジャック選手を中心に、ウイングの2人で非常にバランスが取れているように感じます。その点について、先生はどう見ていますか

片峯コーチ
「そうですね。ロイとジャックを基本的に中心にやっている中で、そのバランスを調整しているのが吉岡や勝又の働きだと思います。
本来であれば、サイズ感的にサントスを入れた方が、見た目としてはサイズもあって強そうに見えると思うんですが、そうするとバランスが取れなくなる部分もある。
今のコンセプトとしては、おっしゃる通りロイとジャックがしっかり起点となって得点を積み重ねていくことが、今やりたいことなので、そこにもう少し吉岡の3ポイントだったり、榎木もそうですし、途中から入る中村や栗原といった選手のアウトサイドが加わると、相手としてはもっと守りづらくなると思っています。」

J:強度が変わらないディフェンスについてはいかがでしょうか

片峯コーチ
「ディフェンスは、誰が出ても11人全員で前から強度高くプレッシャーをかけ、リバウンドをしっかり確保することを大事にしています。
無理なローテーションをしてしまうと、留学生やビッグマンのところでズレが生じてしまうので、そうならないように、5対5でしっかり終わることを意識しながらゲームを進めています。」

J:ディフェンスの完成度について、先生のイメージではどこまで来ていますか

片峯コーチ
「相手に合わせなきゃいけない部分もあります。とにかくプレッシャーをかければいいというわけではない。
今日の羽黒の選手のようにキープ力があって1対1で切り込める選手が相手だと、プレッシャーをかけすぎるとファールトラブルになり、フリースローを与えたり、逆に3ポイントを打たれることにもつながる。
なので今日は、常にワンアームくらいの距離でコンテストできる間合いを意識して守ろうと伝えていました。体を強く当てる強度も大事ですが、相手が一番嫌な守り方を徹底する。それが本当の強度だと思っています。
そういった遂行力という部分では、まだまだです。勝っていくためには、たった1本、ちょっとした遂行力のミスでやられてしまうこともある。
これからは留学生や身長2メートルを超える選手も出てくる中で、どうしようもない2点を取られる場面もあると思います。でも、だからといって負けていいとは思っていません。
守れるべきところは完璧に近い形で守りたい。そういう意味では、まだ70点、80点くらいだと思っています。」

白谷柱誠ジャック、まだ高校1年生。
日々の積み重ねを自分の言葉で語れる姿勢は、すでに次のステージを見据えている証でもある。
一戦一戦を糧にしながら歩みを止めないその成長曲線は、やがてチームの軸となり、さらにその先へとつながっていくはずだ。
このコートで積み上げられている「今」は、間違いなく日本バスケットボールの未来の一部である。

 

女子|注目選手
庵原有紗(日本航空北海道)
「日本に来て良かったなと心から思っています」
12/25(THU) 女子3回戦
大阪薫英女学院 83-80 日本航空北海道

Jbasketインタビュー🎙️
創部3年でインターハイ準優勝の日本航空北海道は、誰もが想像しなかったスピードで日本の頂点に迫ってきた。
敗戦のホイッスルが鳴ったあと、コートに残ったのは悔しさと、やり切れなさ、そしてそれでも前を向こうとする覚悟だった。チームを牽引してきたエース・庵原有紗は、涙をこらえながら試合を振り返った。

最大得点差28点から3点差まで詰め寄った執念の追い上げ。そこに込められていたのは、最後まで諦めなかったチームの意志と、3年間積み上げてきた時間そのものだった。

試合後、庵原有紗は涙をこらえながら敗戦を振り返った。
ディフェンスを含めてチームとしてやるべきことができず、自身もオフェンスでシュートを決め切れなかったと悔しさを口にする。「チームを勝たせる立場として弱気になってしまった。本当に申し訳ない」と、その責任を背負った。
前半の28点差が大きく響いた。それでも「絶対に追いつく」という気持ちで、ディフェンスではダブルチームを仕掛け、終盤には3点差まで詰め寄った。しかし、一桁点差の場面での無駄なファウルやミスが重なり、時間が足りなかった。

創部3年でここまで導いてきたこのチームを、庵原は「集大成の年」と位置づけていた。それだけに、前半の流れを切り替えられなかったことへの悔しさは大きい。それでも、仲間と積み重ねてきた3年間は確かな財産となっているに違いない。

J:それでも、この3年間でここまで来られたことは、なかなかできることではないと思います。ここまで築き上げてきた中で、学んだことや苦しかったことがあれば教えてください

庵原有紗
「自分たちは最初、1年生だけで始まって、先輩からの指摘だったり、教わることがなかったんですけど、今まで自分たちで作ってきました。
そこに後輩も入ってきて、初めて“先輩”という立場にもなって、そういう中で本当にたくさんのいい経験ができました。

ウインターカップだったりで悔しい思いもたくさんしましたけど、それも自分たちにとってすごくプラスの経験になりました。
仲間と支え合って、3年生とも支え合って、本当にここまで来られたのは、すごく良かったなと思います。」

J:その経験を、どのように次に活かしたいと感じていますか

庵原有紗
「ペイントで押し出されてしまって、シュートを決め切る力が足りなかった。
前半も外してしまっていて、自分の立場として、やっぱりシュートを決め切らないといけなかったと思います。
それができなかったのは悔しいですけど、夏のインターハイの悔しい経験も含めて、次に活かしていきたいです。

この3年間、日本航空という学校で、仲間とこういう環境でバスケットができて、色々学べたことは本当に大きくて、日本に来て良かったなと心から思っています。
この経験を忘れずに、次も100%で挑戦していきたいです。」

勝ち切れなかった現実は、決して消えることはない。それでも、日本航空北海道がこの3年間で築き上げてきたものは、数字や結果だけでは測れない。
何もないところから始まり、自分たちでチームを作り、支え合い、全国の舞台、インターハイ準優勝までたどり着いた。庵原有紗の言葉一つひとつには、その重みと責任、そして次へ向かう意思が込められていた。

積み上げてきた経験と悔しさは、確実に次へつながっていく。日本航空北海道が残した足跡は、これから挑戦するすべてのチームにとって、ひとつの指標になる。そして庵原有紗の挑戦も、ここで終わることはない。

Jbasket視点
勝敗や結果は、その瞬間ごとに刻まれていく。だが、その裏側で積み重ねられている言葉や覚悟は、簡単には消えない。

白谷柱誠ジャックが示した成長の現在地。
庵原有紗が背負い続けた3年間の重み。

このDAY3に刻まれた2人の「今」は、それぞれの形で、確かに次のステージへとつながっている。

 

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