逆境の中から灯す炎で
怪我人の多いA東京を支える、静かな闘志
アルバルク東京の2025-26シーズンは、開幕から試練の連続だった。
主力に怪我人が相次ぎ、チームは序盤からローテーションに苦しんでいる。
成績はここまで 3勝4敗。優勝候補として臨んだシーズンの立ち上がりとしては、決して満足のいくものではない。それでも、逆境の中でチームを支え、戦い続けているのが #2・大倉颯太 だ。
「自分たちのタイミングでアタックして、相手が崩れたところをどんどん狙いにいく。その中に、これまでやってきたハーフコートバスケットを織り交ぜながら得点を取っていくスタイルを追求していく。」
そんな“緊急事態をどう乗り越えていくか”という考えを語ってくれた。
「怪我人もいて、正直分が悪いと思っていた中で、僕らが勝てるスタイルを探していました。」
その言葉には、苦境を真正面から受け止めながらも、チームを導こうとする静かな覚悟が宿る。誰かが欠けても、彼がコートに立てばチームは前を向く。ハードに、粘り強く、そして冷静に。チームの“鼓動”を保つ存在だ。
開幕戦での反省を経て、2戦目では明確な修正が見えた。「戦う気持ち」「ペースコントロール」「攻め切る覚悟」。ガードとしての役割を超え、チームの温度をデザインする存在へと進化している。
「相手をアンカンファタブルにさせる」
その意識が、ディフェンスの強度と試合運びのリズムに直結している。
第2戦では負けはしたが、相手を66失点に抑え、粘り強い守備で試合を支配した。
数字には表れない“ゲームマネジメントの質”こそ、大倉の最大の武器だ。
EASL初戦(vs ザック・ブロンコス)での敗戦後、「負けちゃいけないチームで、言い訳をしちゃいけないチーム。」
その言葉が示すのは、プロとしての矜持。怪我人が多くても、ベンチの空気が沈んでも、チームの方向を再びひとつに戻そうとする意志があった。
「この試合で何かを得なきゃいけない。」
彼の視線は常に“次の勝利”と“チームの成長”を同時に見据えている。その責任感こそが、今のA東京を支える最大の要素だ。
大倉が挙げた課題は明確だ。
「いいシュートを打てている。だからこそ決め切らなければいけない。」
決定力、リバウンド、そしてコートとベンチの一体感。リズムが悪くなったときの“間”をどうつなぐか。そのわずかなズレを修正することが、今季のA東京にとって最大のポイントとなる。
「負けちゃいけない試合を落とした責任を感じている。」
そう語る表情は、悔しさを超えた覚悟に満ちていた。勝利を“狙う”のではなく、“掴み切る”チームへ。その変化の中心には、間違いなく #2・大倉颯太 がいる。
Jbasketインタビュー🎥
大倉颯太スペシャル動画、写真はJbasket AND1にて公開中

■大倉颯太 2025-26シーズン個人成績(開幕7試合時点)
•平均得点:4.7点
•平均リバウンド:1.4本
•平均アシスト:1.4本
•フィールドゴール成功率:34.4%
•3ポイント成功率:33.3%
•フリースロー成功率:83.3%
数字だけを見れば控えめに映るかもしれない。
だが、怪我人が相次ぐチームの中で、試合を落ち着かせ、リズムをつなぐ役割を担っている彼にとって、これらはチームを整えるスタッツでもある。
■データで見るA東京 2025-26シーズン開幕7試合時点
•成績:3勝4敗(東地区8位)
•平均得点:75点
•平均失点:77点
•得失点差:-2
•主力数名が開幕から離脱もありながら、リバウンド率・アシスト数はリーグ上位水準を維持。
昨季(2024-25)は44勝16敗・勝率.733で中地区2位。強豪としての地力を持ちながらも、今季は“耐えて勝つ力”を磨く時間となっている。
逆境の中でこそ、リーダーの真価が問われる。チームが苦しいとき、最も冷静に全体を見渡し、仲間を鼓舞し、未来を信じる存在、それが大倉颯太だ。
彼のプレーは派手ではない。
だが、その一つ一つが確実にチームを前へ進めている。A東京が再び“勝ち切るチーム”へと戻るとき、その中心には、このガードの姿がある。戦う理由があるから、彼は止まらない。怪我人が戻るまでの時間を、支え合う時間に変えて。A東京の再起動スイッチは、すでに彼の手の中にある。そしてその手が再びチームを照らすとき、アルバルク東京は本当の意味で“強さ”を取り戻す。