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【ウインターカップ】高校バスケ界を3年間引っ張ってきた 福岡第一の宮本ツインズ #35宮本燿「大好きです」最高の相棒へ贈る言葉。家族以上の存在」から「最高のライバル」へ

【ウインターカップ】高校バスケ界を3年間引っ張ってきた 福岡第一の宮本ツインズ #35宮本燿「大好きです」最高の相棒へ贈る言葉。家族以上の存在」から「最高のライバル」へ

福岡第一・宮本燿、メインコートで刻んだ双子の絆 あうんの呼吸より大切な「悔しさの共有」。宮本ツインズが駆け抜けた壮絶な1年と最後の冬。

バスケ界を3年間引っ張ってきた、福岡第一の宮本ツインズ(宮本 聡・耀)。
1年のデビュー戦後、2人がコートに立った姿が思い出される。全国の高校生が必ず帰ってるくると誓うウインターカップのメインコートで、2人のコンビプレーは会場を沸かせる。ベスト4で、佐藤凪率いる東山との戦いは、福岡第一 58-72 東山2Qのブザービーターから、後半に入り4Q宮本兄弟による得点で同点にまで詰め寄るが決勝への道はあと一歩で及ばなかった。それでも、阿吽の呼吸で魅せたパスやゲームメイクで全国のバスケファンに、インパクトと楽しみを与えてくれた。

福岡第一のエース#35 宮本燿
ここぞで、何度もチームを救ってきたエースの双子の兄弟。福岡第一#35「宮本燿」が試合終わった後の気持ちを振り返り「やっぱり試合の入りから今日は本当に全然ダメで、自分たちのバスケがなかなか見せられなくて。本当に苦しい展開だったんですけどね。本当にベンチからも、応援席からもたくさん声をかけ続けてくれて。ダイト(#46 長岡大杜)もシュートを決めてくれて。「本当にいい仲間と最高なチームを持ったな」っていう風に思いました」。同点に追いついた後、「いける」と「自分が決める」思ったはず、最後突き放されてしまった「本当に一つのリバウンドであったり、それまでの過程であったり。決定的なプレーというよりかは、本当に試合の入りからの「積み上げ」ができなかった。40分間、自分たちの強みをしっかりと出すことができなかった。そこですね」と悔しさを滲ませた。

 

チームの成長とポジティブな変化
トップリーグの終わりから考えられないぐらいチームとしてまとまり
メインコートまで来る力を発揮

「本当にこの1年は壮絶というか、ジェットコースターというか……。1年のいい入りができたんですけど、インターハイ予選で負けて。その後、良くなってきたかなと思ったら、下が離脱してトップリーグで大敗して。このウインターカップ大会に臨むにあたって、ほとんどの人から「福岡(第一)は今回すぐ負ける」みたいに言われていたりして。それを気にしてたわけじゃないんですけど、「自分たちの力を示そう」というか、自分たちの3年間をとりあえずコートで出そう。という風にチームとしてやってきました。いい練習ができた時より、どちらかというと悪い練習の方が多かったりして、この1ヶ月もなかなかまとまらないというか、苦しかったんですけど……。でも、本当にこのウインターカップでは初戦から覚悟を持って、全力で、もう1試合1試合成長していくつもりで今日の試合に臨みました。言い出したらキリがなくなるんですけど、それが勝負なんで。それも人生なんで。その中でもやりきったかなって。後悔は確かに(少しは)あるかもしれないですけど、やりきって、少しでも日本中の応援してくれてる方々に、勇気とか感動とかを与えられたんじゃないのかなっていう風に思ってるんで。とりあえず1年間やり切ったって感じです」。

「本当にこのウインターカップも優勝を狙ってて、今日の試合も本当に勝つつもりで。でもそれでも及ばなくて。この1ヶ月はなかなか……さっきも言ったんですけど、本当にあんまりいい練習ができなくて、いいことも続かなかったんですけど、その中でも1試合1試合成長して。いいプレーも悪いプレーも、苦しい時間も楽しい時間も本当にたくさんあったんですけど……こう、「青春してたな」というか。そんなウインターカップでした。

J:メインコートに入る前など、最後に2人でコートに入る前に話したことはありますか?

「コート内外で本当に3年間やってきたんで、最後は「笑って終わる」というか。それが保護者に対して、というか応援してくれてる人に対して、泣いてばっかりの姿を見せるわけにはいかないんで。「最後はやっぱ笑って終わろう」とチームメイトには声をかけてました」。

双子でのメインコート、そして相棒へ
「双子でスタメンでメインコートに立つなんて、ほとんどの人は経験しないことだと思うんですけど、伝えたい思いはありますか?
本当に12年間一緒にやってきて。一緒に勝つ時もあれば、一緒に負ける時もあって。自分がダメな時もあれば、あいつがダメな時もあれば。その中でもいいパスくれたり、悪いパスくれたり、呼吸が合わない時も本当にあったんですけど。
全然2人とも実力はないんですけど、井手口先生は最後まで使ってくれて。全然力がないのにたくさん応援してくれてる方がいて、その方々に感謝したいというか。そういう人たちに、少しでもこのウインターカップでいいプレーが見せられたかわかんないですけど、「声をかけ続ける姿」とか「諦めない姿」は本当に見せられたと思うんで。そこは胸を張っていいかなと思っています」。


トップリーグが終わってからの井手口コーチから

「正直、トップリーグが終わってからも何か変えたことはあんまりなくて。変えたこともないし、何か(特別なことが)あったこともないし。なかなかいい練習もできなくて、チームとしてのまとまりもできなくて。でも、その中でも本当に自分の3年間を信じて、3年生同士で声をかけ続けて。井手口先生も3年生を信じて使ってくれて。本当に、あの大敗で諦めてもいいような内容だったんですけど、最後このメインコートまで戻ってきて、福岡第一の粘りをもう一つ見せたかったんですけど……。でもここまで来たのは自分たちの3年間なので、そこにはしっかりと胸を張って。やっぱりこの負けでウジウジしててもダメなんで。最後はやっぱり、本当に「笑って終わろう」という風に終わりました」。


河村勇輝(NBA)からのプレゼントバッシュに込めた思い

J:NBAに挑戦している河村勇輝先輩からのプレゼントだという「バッシュ」の話を聞いたんですけど、どういう思いがありましたか。

「全然バッシュはあんまり気にしてプレーしないタイプなんですけど、結構嬉しかったです。みんなで揃えようって言ってたのか、みんなパパパッと履いて。『このバッシュが合いそうな人は履いていいよ』みたいな感じで。バッシュには感謝しています!」


「最高の相棒」との別れ

12年間一緒にやってきた相棒(兄弟)と分かれることについては「一緒にバスケットをすることは、多分もう特に真剣勝負を一緒にすることはないんですけど。マッチアップすることもありますし、アドバイスとか言い合えることもありますし。日常生活も、卒業するまでは一緒なんで、そこは変わらず楽しんでいきます。大学から別々になるんですけど、いつかは別々になるわけですし。そういった意味では「独り立ち」というか、「独立」というわけじゃないんですけど、一人で生きていく必要があるので。2人でいなかった時間が少ないし、家の部屋でも本当にずっと一緒にいたんで。ずっと一緒にバスケもしてきて、バスケでイライラすることもあったり。「もっと見せるプレーできたやろ」笑..って思うこともあったんですけど。あいつは本当にいいガードなんで、これからもっといいガードになると思いますし、自分もこれからポイントガードとして、本当に負けてられないんで」。


プレー面で「通じ合ってるな」と思う瞬間はありましたか?

よく「あうんの呼吸」とか言われるんですけど、あんまり……そういう呼吸が合わないことの方が結構多かったりして。でも自分たち的には、プレーというよりかは「勝った時の喜び」とか「負けた時の悔しさ」の共有をできるのが一番ありがたかった。日常生活も一緒にいて、本当に酸いも甘いも経験してる2人なんで。「あうんの呼吸」のプレーがもっともっとできればよかったんですけど、それよりもこの「負けた悔しさと辛いことを共有すること」の方が意味があると思ってるんで。

これから別々のチームになるんですけど、お互いの試合を見に行ったりして共有できると思うんで、そこは変わらず2人で楽しんで、苦しいことがあれば相談し合ったりして、これからもやっていけたらなという風に思ってます。

 

燿にとって、聡はどんな存在なのか
「家族以上の存在」から「最高のライバル」へ

「難しいんですけど、“最高の相棒”という一言じゃ足りなくて。家族以上の存在なんで。2人で一人の身体でやってきたんで。……大好きです」。

インタビューの最後、照れ隠しなしに語られた言葉には、共に戦い抜いた者にしか分からない12年間の重みが詰まっていた。「2人で一人の身体でやってきた」と語るほど、彼らにとって双子の片割れは自分自身の一部であり、家族を超えた存在だ。最後に、少し間を上げて溢れた「大好きです」という言葉は、最も近くで競い合い、酸いも甘いも共有してきた唯一無二の理解者へ贈った、最高のフィナーレにふさわしい告白だった。

終わらない二人の物語。次の大学カテゴリーでは、お互いがライバル。それでも二人のバスケットは高め合い、マッチアップする。ファンはその姿を楽しみにしている。チームは離れても、苦しい時には相談し合い、お互いの試合を見に行き、刺激を与え合う関係は変わりません。「最高の相棒」から、今度は「最大のライバル」へ。形を変えて続いていく二人の切磋琢磨は、これからも日本のバスケファンに新たな楽しみと感動を与え続けてくれるはずだ。

宮本ツインズが冬の高校バスケウインターカップのメインコートで見せた「最後まで声を出し、諦めない姿」は、間違いなく多くの人の心に勇気というギフトを届けてくれた。

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Jbasketライター

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