
第101回天皇杯は1月10日、代々木第一体育館でファイナルラウンド・セミファイナル2試合が行われ、アルバルク東京とシーホース三河がファイナル進出を決めた。
第1試合ではアルバルク東京が激戦を制し、前身のトヨタ自動車時代以来となる14大会ぶりの優勝へ王手をかけた。拮抗した展開の中でも終盤にかけてディフェンスの強度を一段引き上げ、簡単な失点を許さない。限られたポゼッションの中で、何を選択し、何を我慢するのか。勝負所での判断力と遂行力に、積み上げてきたチームとしての完成度が凝縮された一戦となった。
続く第2試合ではシーホース三河が宇都宮ブレックスを53失点に封じ、71―53で勝利。前身のアイシン三河時代以来、10大会ぶりとなる天皇杯制覇を懸けてファイナル進出を果たした。三河は試合を通してディフェンスのトーンを落とさず、「球際」と「ウィニングプレー」を徹底。派手さではなく、40分間を通じて勝利に必要なプレーを積み重ね、自分たちの基準をコートで体現した。
ファイナルは1月12日、同じく代々木第一体育館で開催される。
アルバルク東京は14大会ぶり、シーホース三河は10大会ぶりの優勝を懸けて激突。ともにクラブの歴史と現在地を背負い、譲れない基準をぶつけ合う一戦となる。
天皇杯という「一発勝負」の舞台で、どちらが最後まで自分たちのバスケットを遂行し切るのか。国内最高峰の価値が問われるファイナルとなりそうだ。
シーホース三河のファイナルへ向けて、
リッチマンHC・西田優大・石井講祐に聞いた
J:「球際」「ウィニングプレー」を最初から最後までやり通すことができた理由は
石井講祐
「僕個人に関して言うと、こういう天皇杯ファイナル4という舞台は、自分のキャリアを考えても多くはない。とにかく楽しんで、この舞台でプレーできることに感謝しようという思いがベースにあります。失敗したらどうしようと考えるのではなく、自分の努力やチームメイトを信じて、今のプレーに集中し続けられたことが一番かなと思います。
チームとしても、うまくいかない時間帯もありましたが、そこでもう一回自分たちにベクトルを向けて、やるべきことに集中してやり続けられた。その我慢強さはトーナメントを通してついてきているなと感じます。」
西田優大
「40分間遂行できた理由として、やはりメンタリティを大事にしてくれる選手が常にコートにいるのが大きかったです。石井さんもそうですし、須田さんもそう。それにみんなが乗っかっていった。アヴィがリバウンドでハッスルしたり、みんながそこに乗っかった結果だと思います。」

石井講祐について
西田優大
「先輩を目の前にして言いづらいですが(笑顔)。シーズン当初はプレータイムが少なかったですが、どんな状況でも準備していたのを僕たちは知っています。出れば必ず仕事をしてくれるのでチームも信頼していますし、こうして今プレータイムを勝ち取って、一緒に戦う中でメンタリティを浸透させてくれている。どんな状況でも引っ張ってくれるので、まさに「一家に一台」だと思います。」
自身これまでの4回の優勝を経験を、今大会にあたってチームに伝えたこと
石井講祐
「特別みんなの前で話したわけではないですが、トーナメントは初戦が大事なので、カテゴリーが下の相手でも自分たちのバスケットを強度高く遂行することに集中しよう、という話はしました。一戦ごとに成長していけば絶対にチャンスはあると思っていたので。それをみんながサボることなくやり続けてくれた。チーム一丸となって戦えていると感じます。」
石井がスコアリングリーダーになっていることについて
ライアン・リッチマンHC
「彼は本当に素晴らしいプロフェッショナルです。常にチームのトーンをセットしてくれる。まさに我々の三河のバスケットボールを体現している選手です。彼をコーチングできることは本当に幸福ですし、私自身もインスパイアされています。
彼は試合に出ている時もいない時も、常にコートに一番早く来て、自分の出番が来る時に備えて準備をし続けているのを私は見てきました。だから彼を試合に送り出すことに躊躇はありません。西田選手が怪我をした時に、長野選手と一緒に彼をスタートで出す時もすごく安心感がありました。彼にコーチができることを本当に嬉しく思いますし、隣にいる西田選手も同じように感じているはずです。」

3人キャプテン制では
石井講祐
「須田は熱くリーダーシップで引っ張るタイプ、優大はエースとしてプレーで語るタイプ。僕は一歩引いて客観的に全体を調整する役割です。3人でよく話し、良いバランスでアプローチできていると思います。」
西田優大
「石井さんはシーズン当初プレータイムが少ない時期でも、常に準備を怠らない姿を僕たちは見てきました。出れば必ず仕事をしてくれる信頼感がありますし、チームにメンタリティを浸透させてくれる。」
ファイナルへ
ライアン・リッチマンHC
「我々はチャンピオンになるという目標を掲げている以上、宇都宮戦でのプレーに満足はしていません。まずは選手たちに栄養と睡眠をしっかり取ってもらい、その後すぐに仕事に戻ります。次の決勝でも「三河のバスケットボール」を40分間、高いクオリティで体現できるよう準備します。アルバルク東京さんは素晴らしいチームですので、しっかりフィルムを見て挑みたいと思います。」
石井講祐
「決勝のアルバルク戦ですが、年末に連敗していますし、相手も去年の天皇杯決勝で負けている悔しさがあるはずです。ただ、レギュラーシーズンに向けても、ここでタイトルを取ることは大きな意味を持つので、決勝の舞台を楽しみつつ、三河のバスケットボールを40分間示し続けたいです。」
西田優大
「キャプテンの須田さんや石井さんがもたらしてくれた「勝つメンタリティ」のおかげで、一つのルーズボール、一つのチェックといったプレーが勝利をたぐり寄せる鍵となりました。
アルバルク戦についても、過去の連敗に目を向けすぎるのではなく、目の前のプレーに集中したいです。今、チームには勢いがあり、良い雰囲気です。僕がこのチームに来てからまだタイトルを一度も取っていないので、ここまで来たら結果にこだわって取りに行きたいです。」
シーホース三河が積み上げてきたのは、派手さではなく、40分間を通して揺るがない基準とメンタリティだ。球際、ルーズボール、ウィニングプレー。その一つひとつに意味を与え、勝利へと結びつけてきた。
ファイナルは「準備」と「遂行」が、そのまま結果に直結する一発勝負。リッチマンHCが掲げる“三河のバスケットボール”を、もう一度40分間体現できるか。
そして、石井講祐と西田優大が語った「勝つメンタリティ」を、全員でコートに持ち込み切れるか。歴史と現在地を背負い、譲れない基準をぶつけ合うファイナル。三河は、自分たちが何者であるかを、もう一度プレーで示しにいく。




