日本代表のワールドカップカップ2023が沖縄で全日程終了した。8/25から開幕して日本は史上初のワールドカップでの3勝を挙げて、アジア地区1位になり48年ぶり自力でパリ五輪の切符を獲得した。
大会が始まり注目度は試合毎に上がっていき、最終戦カーボベルデに勝利した時のテレビ視聴率は34.4%と多くの人を動かした日本代表。その中心にいたのは、日本代表で唯一のNBA選手の渡邊雄太だ。渡邊が大学2年から日本代表選手として世界を相手に東京オリンピックまでの10連敗から、このワールドカップ予選第2戦ヨーロッパから初の勝利を挙げた。フィンランド戦逆転勝利での歓喜の涙に沖縄アリーナが揺れた。2勝目は15点差から南米ベネズエラに大逆転勝利でパリオリンピック出場へ王手かける。そして、カーボベルデ戦での勝利で48年ぶりの自力オリンピック出場を決めた瞬間うずくまる姿勢にトップ選手であり日本を牽引し続けた渡邊の思い全てが溢れかえったいた。そして今大会で勝利出来なかったら日本代表を引退すると大会前の東京大会有明アリーナで宣言した所からこの物語は始まった。
試合終了後、ウイニングボールを真っ先に持って駆け寄る河村勇輝
自身のSNSでも今大会への思いを記載して最後に「パリ行くぞーーーーーー!!!!!!」と発信した。
J basketが追い続けた今大会の渡邊雄太のコメントと日本の結果を照らしながら振り返っていきたい。
まず、パワーランキングが2位の状態で沖縄に入ってきたドイツ、日本代表ドイツ戦前日練習でこう応えてくれた。
渡邊雄太
J:緊張感と競争心を持つのと同時に楽しむ、それを5年間NBAでやってきて、今直前にしてどう感じてますか
「こういう時にしんどさに負けてしまったりするのが1番ダメなので、自分達がやらせてもらっている事、自分達が好きな事、ましてそれを国の代表としてやれることは凄く誇りですし、それを自国開催ということは先ずないので楽しんでやれないんだったら、ここにいる資格は無いと思います。もちろん競争しながら緊張感持ちながら最後はしっかり楽しんでやりたいと思ってます」
【男子🇯🇵日本代表】ワールドカップ
前日午前公開練習#AkatsukiJapan#日本一丸#渡邊雄太#富樫勇樹#比江島慎 pic.twitter.com/pMEkH1WVqw— 𝗝 𝗯𝗮𝘀𝗸𝗲𝘁 (@jbasket_jp) August 24, 2023
初戦のドイツ戦で実は足を痛めて、普通に歩いていなかった中、最後まで戦い抜いて、日本は行けるんだとみんなに思わせてくれた大事な一戦になった。
日本Game1 8/25(FRI)
ドイツ🇩🇪 81-63 🇯🇵日本
1Q 23-11
2Q 30-20
3Q 16-16
4Q 12-16
<日本>
#12 渡邊雄太 20得点 6Reb 2bl
#18 馬場雄大 15得点
#24 ジョシュ・ホーキンソン 9得点 10Re
渡邊雄太
J:チームDFの意識を次に繋げていくには
「一種のギャンブルDFというか、そういうのをやっていかないといけないので、1対1でどうしても守りきれないですし、チームDFでやり切ろうと思っても相手の個の力が強かった場合に打開されてしまうので、相手をちょっと驚かすじゃないですけど、そういうDFはやっていかないといけないので、それで今日ドイツからスティールやターンオーバー出来た部分もあったのでそこは継続してやっていきます」
「後半点差離されそうになった時もみんな歯を食いしばって40分間戦い切ったので、勝敗が並んだ時に得失点差が関係しくる分1点が重くなってくるんですけど、本当に最後まで諦めずにやり切ったのは1つ収穫かなと思います。
足の怪我は、コートに立つ以上は足が痛かろうが関係ないので、もしかしたらドイツにも負傷者がいるかもしれないし、そこは言い訳せずにやっているので僕も言い訳せずにやっていきたい。自分達はチームで止めるしかないので、個人個人見た時にドイツが強いのはわかっているので、コミュニケーションのミスがあったりしたのでそういうのが無く40分間戦う事が次の課題です。
チームはシュート確率が上がってこなかった分、思い切って打ち切れなかったのかなと思います。次はそれを決めれば、ゲーム展開変わっていたと思いますし、決めなければこういう展開になる、シンプルなのでやるしかないです。自分ももっと決めてれば、自分の責任です」
渡邊雄太の鼓舞する姿は、本当に日本がやられ込んで負けてしまったのではなく、あと少しのところ、シュート決定力を上げられれば勝てると思わせてくれた。
そして1日空けて、またまた決戦になる。ドイツに負けてまたもしかしたら、、とヘッドダウンする事なく、試合前の練習もいい雰囲気で行われていた。日本のバスケットは運命はまずこの試合にかかっていた。その重圧は計り知れないものがあったと思うが、日本代表は前代未聞の世界大会で大逆転勝利を魅せてくれた。
ワールカップ17年ぶり勝利 ヨーロッパ勢に初勝利を挙げる
グループE Game2
日本🇯🇵 96-88 🇫🇮フィンランド
1Q 22-15
2Q 14-31
3Q 17-19
4Q 33-15
<日本>
#24 ジョシュ・ホーキンソン 24得点 19Reb
#5 河村勇輝 25得点 9AST
#6 比江島慎 17得点
#30 富永啓生 17得点
最後は96-88と日本は最終的にハイスコアを叩き出し素晴らしい逆転勝利で日本が17年ぶりにワールドカップで勝利して、ヨーロッパ勢から初めて勝利した。
渡邊雄太
「今日最後残り5分くらいでコートに戻りましたが、この後足がぶっ壊れてもいいと思いながらコートに立ちました。
気持ちを持ってみんなここに来たので、まだパリオリンピックが決まった訳じゃないのでまだこれで満足は出来ないですけど、
ゲームが終わった後、僕に(河村勇輝が)”引退はさせないですよ”と力強い言葉をもらって頼もしいです笑。
あのチームに勝つには激しいDFでオールコートでプレッシャーかけて3ポイント打つバスケットしかないので、綺麗なバスケットしたらいい勝負は出来ても勝ち切るまではいかないので、勝ててよかったです。
この勝利は本当に大きな1勝なんですけど、まだまだ僕達はこれからなので、次オーストラリアに勝てばパリに大きく近づくので、まだまだ目指す所はあるので、次のオーストラリアも絶対勝ちます」
NBAオールスター選手のマルカネンとフリースロー前のトラッシュトーク
フィンランド戦勝利後に渡邊雄太へ「引退はさせません」と河村が駆け寄るシーン
試合後に日本代表の今までの勝たないといけない重圧が一気に解放されたかのように選手たちの喜びや涙も見ることができた。この1勝は日本が世界への扉を世界の前で開けたことを示してくれた。日本中が歓喜の渦になった。そして予選ラウンド第3戦で世界ランキングのオーストラリアとの対戦になる。日本は本当にオーストラリアに勝ちに行くことが伝わってくる。それが渡邊雄太が練習から試合まで常にチームで先頭に立ってきたことがチームに伝わってきていることがわかる。
日本は世界3位オーストラリアに善戦も敗戦しグループE3位
パリ五輪出場権かけて順位決定リーグへ
日本Game3
8/29(TUE)
オーストラリア🇦🇺 109-89 🇯🇵日本
1Q 25-17
2Q 32-18
3Q 30-35
4Q 22-19
<日本>
#24 ジョシュ・ホーキンソン 33得点
#12 渡邊雄太 24得点 7Reb
#2 富樫勇樹 14得点 7AST
またNBA昨シーズン、ブルックリン・ネッツで共にプレーした渡邊雄太とパティー・ミルズは讃え合っていた。
渡邊雄太試合後
J:厳しい時間帯で、もしかしたら作戦を超えるペイントアタックだったのかもしれませんが、どのよう気持でプレーされてましたか
「自分も体力的に結構厳しい部分もあったんですが、特に前回の試合みんなに助けてもらった分、今日みたいなゲーム展開の時はとにかく自分が引っ張らないといけないという思いで、ジョシュもペイントで凄く身体を張ってくれましたし、それに続いて僕もやらないといけない気持ちでいきました。
ドライブすればオーストラリア相手にでもしっかりファウル貰って僕が9本、ジョシュが7本打てている。
もちろん外からのシュートをやっていきますが、チャンスがあればペイントアタックして、フリースローや簡単な2点を取っていかないといけないので、今日は本当に3ポイントを決めたいと思いがありましたが、アタックすれば周りのシューターも活きてくるので、今日はそこを意識してプレーしました」
「前のオーストラリアはベストメンバーではなかったですけど、今日は勝ちに来ているメンバーに対して後半あれだけやれたのは、間違いなく自分達の自信に繋がったと思います。
こういうチームを本気で倒したいとなった時に、20分では絶対足りないですし、コーチも40分うちのバスケットをやり切らないといけない。それをやり切れる力や体力をつけていかないといけない。相手は後半自分達のペースに疲れていたし、今まで自分達がやってきた証明でもあるので、こういうチームに自分達が通用するのを後半20分間皆さんに証明出来たと思います。
残り2試合絶対勝たないといけないので40分間やり切れるかどうかです」
世界トップ3のオーストラリアに全く怯む事なく、アタックして得点を挙げてチームを鼓舞してくれた。ヨーロッパに初勝利した日本代表は世界ランキング3位のオーストラリアと予選最後の戦いでは、勝てばお互い2次ラウンドに進める中で、オーストラリアはゲーム入りから飛ばした。試合は負けてしまったが、オーストラリアに89点も取るという日本の攻撃力はやはりワクワクさせてくれた。ファンもヘッドダウンする事なく、次のラウンドでパリ五輪へ向けて戦う日本に更に期待が上がる。
比江島タイムが日本を救う
8/31(THU)グループO 沖縄アリーナ
日本🇯🇵 86-77 🇻🇪ベネズエラ
1Q 15-19
2Q 21-22
3Q 17-21
4Q 33-15
<日本>
#6 比江島慎 23得点
#12 渡邊雄太 21得点 8Reb
#5 河村勇輝 19得点 11AST
#24 ジョシュ・ホーキンソン 11Reb 6得点
渡邊雄太
J:2桁得点差の中、渡邊選手は今日もアタックし続けてどんな思いでしたか
「ずっと途中からブザーが最後鳴った時に1点でも勝っていれば良いからとチームにはずっと伝えていて欲張らずに1本1本返していこうと伝えてました。重要な所でしっかりみんな足を動かしてDFで河村がガードプレッシャーかけてくれて相手のリズムが崩れてましたし、OFではマコが一生懸命点取りに行ってくれて、雄大は身体痛めてる中で、ジョシュも最後あれだけやってくれて、富樫勇樹に関しては今日はプレータイム短かったですけどベンチから本当に声を出してくれて、これがチームの力だと思います」
J:終わった瞬間はどうでしたか
「正直凄く安心したというか、、今日中国が勝っているのが分かっていたので、とにかくホッとしたというのが素直な感想でこの後絶対1勝しないといけないので、あと1勝すれば僕の理解が正しかったら、周りに関係なくパリを決められると思うので、、あってますよね!?笑。ホテルで決まるのもなんかなぁと正直思ってたので次から絶対勝って決めます!」
「今日はマコのおかげです。もちろんチームの勝利ですけど、最年長がチームを引っ張ってくれました。あれが僕らからしたら、“いつも通りの比江島慎”なんです。皆さんはマコがこんなに出来るんだど思ってるかもしれないけど、僕も勇樹もあれが本来の比江島慎だとずっと信じてたのでやっと本来の比江島慎が出たなという感じです。今日のようなプレーをする比江島慎を止められる選手は世界でも少ないと思います。いつもやってくれーマコ!!笑」
渡邊雄太はもちろん相手国からすれば最も警戒され、マークもキツくなるのはわかっている。その分他の日本人選手も変わらない活躍を試合毎に魅せてくれている。この試合は、比江島慎が比江島タイムをやってくれたのだ。大逆転勝利に導いてくれて、渡邊雄太や富樫勇樹は比江島慎に対して、”これが普通のマコだから”と何度も話して比江島を讃えていた。
そしてカーボベルデ戦、渡邊雄太が参加してからワールドカップ最終試合を迎える。
この日本代表チームが戦う姿をまだまだ見続けたいファンがどんどん増えている。日本が遂にワールドカップで3勝目を挙げる。この試合は、前半リードの後半我慢というまた違った展開になった。とにかくこの試合は勝つ事のみの試合だった。最後に日本が息を吹き返した。試合後の感動は日本全国で共有された。
全体19位で大会終えて日本の新たな夜明けに
9/2(SAT)グループO
W杯日本最終戦
日本🇯🇵 80-71 🇨🇻カーボベルデ
1Q 17-19
2Q 33-18
3Q 23-18
4Q 7-18
<日本>
#24 ジョシュ・ホーキンソン 29得点 7Reb 4AST
#30 富永啓生 22得点(3P6/8)
#5 河村勇輝 14得点 8AST
」#12 渡邊雄太 10Reb 5AST
試合終了してからの渡邊雄太は、この勝利によって日本悲願のオリンピック出場を叶えた事が伝わるほど体を蹲って喜びを噛み締めて涙を流した。日本全国が感動した瞬間だった。チームメイトとも分かち合った後に、代表インタビューで涙したのは渡邊雄太が背負ってきた重圧を感じることが出来た。何十年にもわたる人たちも気持ちを背負う渡邊雄太はミックスゾーンでも喜びを爆発させた。
渡邊雄太
J:渡邊選手を中心に日々強くなっていく中でどんな所で感じていきましたか
「試合後半で相手の足が止まり出した時に、自分達が走りきり勝てるというのが、やっぱり自分達の強さかなと思ってます。練習が凄くキツかったので、僕は(NBAのルール上)1ヶ月からでしたけど、他のメンバーは数ヶ月かけてあの練習をずっとやり続けてきてるので、走り合いは絶対負けないよなっていう練習を僕達はやってきたので、本当にアレが日本代表の全てだと思います」
「ホッとして涙が出ました、、安心した涙ですかね。 ゲーム終わる前に溢れたのは、この代表活動ずっとやってきて、本当にキツイ思いしかしてこなかったのでようやく報われました。努力は継続すれば何かしら自分に対して戻ってくるといつも思っているので良かったです。これが第一歩で、こんな所で誰も満足してないのでパリでまた勝ちます!!」
「勝てなかったら引退するって言ったのは自分の逃げ場を無くす為に言ったんですけど、こうやってチームに火がついてくれたんだったら本当に良かったなと思いますし、結果オーライかなと思います。 死ぬまで日本代表やります!!笑笑 前回ワールドカップで史上最強と言われて勝てなくて、準備ができてなくて戦えなかったという恥ずかしい思いがあった中で、その時のメンバーも含めてみんながしんどい思いをしてきたからこその今回の最高の5試合でした。凄く自分達が誇らしいです。若い選手も若さ全開の毎試合40分間プレーみせてくれたので刺激をもらいました。」
またミーティングも終わり日本代表は再びコートに戻り喜びを分かち合った。
これまで日本代表で勝てなかった4人が日本を初のワールドカップ3勝に導き共に戦ってきたことを讃え合い最高の笑顔は感慨深いシーンとなった。
そしてこの翌日には沖縄市役所にてトム・ホーバスHC、日本代表12名が国民やファンの皆んなに御礼のメッセージを出した。
渡邊雄太
「今回沢山の応援を頂いてありがとうございました。僕はルール上28日前から合流ができなかったんですけど、他にいるメンバーは何ヶ月も前から準備して、それこそもっと前から、windowもBリーグのシーズン大変な中戦ってくれて、そういう選手達のおかげで僕がこうやってワールドカップでみんなと一緒にオリンピックを決める事が出来たので本当にこのチームに凄く感謝してます。皆さんの応援もそうですし、チームに凄く感謝してます」
こうやってみてくると渡邊雄太の発言はずっと一貫していることが伝わってくる。
日本のスーパースターは、ワールドカップ、東京オリンピックのみならず、代々親の世代から、もっと昔からの日本代表が願ってきたワールドカップでの勝利、またオリンピック自力出場という、日本悲願の思いを背負ってきている。こんな大変な思いをアンダーカテゴリーからずっと背負って戦ってきた渡邊雄太の言葉一つ一つに感じるものや、伝わってくる事ばかりである。
日本のトップ選手が、NBA選手でありながら、怪我についても多くを語らず、明日どうなっていいと言う想いでやっていると試合後に聞いた。そして今回の沖縄でも足を痛めて病院にいってMR検査も受けての出場もしていた。
大会が終わってわかる事が多いが、渡邊雄太のエピソードは聞けているのだろうかと思うほどもっと聞いてみたい。
日本の代表は東京に戻って解散し、各選手は所属チームに戻っていく。
渡邊雄太はNBAフェニックス・サンズに新たに加入して今シーズン6シーズン目を戦う。
パリに向けて新たに動き出した。これからも注目してしていきたい。
トム・ホーバスHC
コーリー・ゲインズ アソシエイトヘッドコーチ
2 富樫勇樹 (PG / 167cm / 千葉ジェッツ)
5 河村勇輝 (PG / 172cm / 横浜ビー・コルセアーズ)
6 比江島慎 (SG / 191cm / 宇都宮ブレックス)
12 渡邊雄太 (SF / 206cm / フェニックス・サンズ)
18 馬場雄大 (SG / 195cm / -)
19 西田優大 (SG / 190cm / シーホース三河)
24 ジョシュ・ホーキンソン (C・PF / 208cm / サンロッカーズ渋谷)
30 富永啓生 (SG / 188cm / ネブラスカ大学)
31 原修太 (SF / 187cm / 千葉ジェッツ)
75 井上宗一郎 (PF / 201cm / 越谷アルファーズ)
91 吉井裕鷹 (SF / 196cm / アルバルク東京)
99 川真田紘也 (C / 204cm / 滋賀レイクス)