
中国戦の敗戦から中2日で迎えた韓国戦。絶対負けられない試合となった。
チームや選手は、精神的にもしんどい負け方をして、すぐの試合に対して、もう一回気持ちを奮い立たせて戦った。これは見ているファンにも伝わったに違いない。
コート内外でのコミュニケーションが見ていてすごく良く、接戦の中でも熱く、落ち着いて、折れずに最後までプレーし続けて、齋藤拓実が最後に決定的な場面でビッグショットを決めた。
そういう流れを日本は諦めずに作り続けていた。チーム一丸、日本一丸で掴んだ勝利となった。試合後の会見で、代表初勝利を挙げた桶谷大HCに聞いた。
変えてはいけないもの
J:この短期間でこの日本のチームで一番共有できたことと、短期間で修正できたことはどんなことだったのかを教えてもらえますか。
桶谷HC
「そうですね。まずダイス(吉本AC)がディフェンスを遂行するところを、しっかり見てくれたところと、一番はリッチマンがやってくれた、オフェンスのところでペース&スペースを使いながら、ペイントアタックをどういう風にしてやっていくかというコンセプトのところが、今回メインだったんですけど。そこの部分は、この2試合で前の代表とはだいぶ変わったものを見せられたのかなという風に思います。
ただ、トムさんのやっぱり良いところというのは、僕たちはしっかり残していきたいというのもありながら、この日本代表って誰かヘッドコーチが変わったから簡単に変わるものじゃないと思うんですよね。
やっぱり良いところをみんなが繋いでいって、より良いチームになっていって、次の世代に繋げていくというのは、日本代表の僕の宿命だと思っているんで。だからこそ良いものを残して、プラスアルファ、温故知新じゃないですけど、新しいものを入れていきながら、それが良いか悪いかは別にして、良いものがあったらどんどん残していくというメンタリティは、このチームに入れられていけているかなという風に思っています。」
さらに代表のHCが何を大切に、何を継承していくのかについて桶谷HCはこう答えた。
「今回、伊藤拓摩強化委員長のもとになって、そこから『自分たちはこの日本のバスケット界に対して何を残していくんだ』というところから話が始まっての、今回のヘッドコーチ交代だったと思うんです。
やっぱり今までの日本代表は、コーチが変わったらガラッと変わるんですよ。それで育成年代の人たちは何を見て子どもたちを教えていったらいいんだ、というところが一番根っこにあったと思うんですよね。
だからこそ、僕たちは
「変わってはいけないものをちゃんと残していく」。日本のバスケットって何が一番世界に優れているの?というところをちゃんと残していきましょうという、知的財産をちゃんと残していく。それは僕らの責任だと思っているんで。
それをこれからJBAとして、日本代表として誰もがやっていかないといけないよね、と。それがトムさんから僕になって、これから僕から誰かになるというところの、このずっと代表が強くなっていくというところは一番大切なところかなという風に思っています。」
世界基準と代表の責任
「プレータイムのところは、ジョシュだったり雄太がやっぱりずっと試合に出続けなければいけないというのも、もちろんそこの課題もあると思うんですけど。
でも、世界の代表を見てくださいというところです。メインプレーヤーはやはり出ています。今日ジョシュの状態を見ながら、僕も疲れが出てきたなというところで変えて。
でもやっぱりジョシュが必要な時は行かせましょう、また雄太も疲れてきたら変えましょう、と。でも最後のところはやっぱりジョシュが出ていた方がチームは乗っていったわけなんで。流れが良い時というのは、やっぱり疲れも来ないじゃないですか。
それを踏まえて、今日のプレータイムはこういう風になったということです。トムさんも同じだと思うんですけど。
とはいえ、そういうのはちゃんと僕らコーチとして見ながらプレーさせているので。トムさんがどういう考えでやっていたかは分かりませんが、僕はそういう考えでジョシュや雄太を使っています。」
この2試合を通して
「やりにくいというところは特にはないんですけど、BリーグやEASLを戦っている中で、プレータイムはある程度制限したりタイムシェアしながらやらないといけない。ただ、この代表は本当に一番良い選手がコートに立つことが大切だと思っています。
最初は12人を使いながら入りましたが、後半は変えていきました。ただ、前半と後半の戦い方のアジャストは難しい部分もあったので、そこはもっと自分もアジャストしていかないといけないと思っています。
試合まで10日ほど、練習も8回くらいでしたが、ここまで一致団結できた一体感はすごいものがあった。もう少し長く合宿や練習ゲームができれば、より良いものにできると思います。7月のWindow3、アウェーゲームが本当に楽しみです。」
今後のメンバー選考について
「怪我で呼べなかった選手だったり、コンディションがなかなか上がってこなかった選手がいるので、次の合宿の時はそういった選手もしっかり呼べるようにしていきたいなと思います。今回は特に競争というよりも、より一体感を出して試合に臨みたいというのがあったんで。次の合宿はもう少し時間があるので、もしかするともう少しコンペティティブな合宿になる可能性があるかなという風には思っています。」

2人は齋藤選手をどう見ているのか。

桶谷大HC
「僕もBリーグで対戦して、何度も彼にやられていますから(笑顔)。
中国戦から韓国戦に入るにあたり、トムさんが強調していた3ポイントはもちろん大事ですが、『もう少しペイントタッチをしっかりしていこう』と話しました。
Bリーグの中でも、拓実はペイントタッチに最も優れている選手だと思っています。
今日、彼が切り裂いてからボールムーブメントが生まれ、馬場雄大がダンクを決めるというシーンが見られました。中国戦では僕が彼の良さを出し切れなかった部分もありましたが、今日は彼と対話しながらプレーを組み立てられました。関係性やコミュニケーションは、7月の大会に向けてより良くなっていくと思います。」
ジョシュ・ホーキンソン
「齋藤選手の素晴らしいところは、プルアップからの3ポイント、パスやアタックもできるし、ピックアンドロールからのバリエーション、シュートも打てるし、本当にいろんなバリエーションを持った選手だという風に思っています。
相手の今日のハードショーに対して、僕がしっかりショートロールでそこにポケットパスを通してくれて、そこからコーナーにキックできたし、あとはそこからハイ・ローのアクションができた。彼のパスがあってこそ、いろんなプレーに繋げられたという風に思っています。」


沖縄に響いた歌
最後に会場を沸かせた歌について、ホーキンソンはこう語った。
合宿の最初に三線ライブの店を訪れ、沖縄の音楽に触れたことがきっかけだったという。昨夏に沖縄を訪れた際も同様に感動した経験があり、試合前夜に「オジー自慢のオリオンビール」を思い出した。
「昨日の夜、いろいろ考えていた時にその曲を思い出して。試合の後に勝ったら歌えるんじゃないかなと思いました。ああいう手拍子もあるので、ファンの皆さんも一緒に巻き込めるなと思っていました。プレーで喜ばせることが一番の仕事。
もちろん試合に勝ってプレーで喜ばせるのが一番大事ですが、それ以外の方法でも楽しませることはできると思っています。今日勝ったら絶対に歌おうと決めていました。」


Jbasket視点
敗戦からわずか中2日。
修正と共有、そして継承と進化。
コートで起きていたこと。
ベンチで交わされていた言葉。
そのすべてが、ひとつの勝利に繋がった。
桶谷体制の初白星は、ただの1勝ではない。
「何を残し、何を積み上げていくのか」それが見えた時間だった。
7月のWindow3へ。
この代表は、まだ強くなる。
その歩みを追い続ける。
韓国戦スタッツ
チームダイレクター 伊藤 拓摩(日本バスケットボール協会/長崎ヴェルカ)
ヘッドコーチ
桶谷 大(琉球ゴールデンキングス)
アシスタントコーチ
吉本 泰輔(Grand Rapids Golds/Denver Nuggets)
ライアン・リッチマン(シーホース三河)
アドバイザリーコーチ 佐々 宜央(琉球ゴールデンキングス)
日本の国家をコートで聞くことが誇りと語っていた吉本AC、目線の先は国旗🇯🇵
勝利後のコーチたち


ロスター12名
#1 齋藤 拓実 (PG / 172cm / 30歳 / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#2 富樫 勇樹 (PG / 167cm / 32歳 / 千葉ジェッツ)
#3 安藤 誓哉 (PG / 181cm / 33歳 / 横浜ビー・コルセアーズ)
#12 渡邊 雄太 (SF / 206cm / 31歳 / 千葉ジェッツ)
#13 金近 廉 (SF/ 197cm / 22歳 / 千葉ジェッツ)
#18 馬場 雄大 (SF / 196cm / 30歳 / 長崎ヴェルカ)
#19 西田 優大 (SG / 190cm / 26歳 / シーホース三河)
#24 ジョシュ・ホーキンソン (C/PF / 208cm / 30歳 / サンロッカーズ渋谷)
#30 富永 啓生 (SG/ 188cm / 25歳 / レバンガ北海道)
#31 原 修太 (SG / 187cm / 32歳 / 千葉ジェッツ)
#32 シェーファー アヴィ 幸樹 (C / 206cm / 28歳 / シーホース三河)
#35 佐土原 遼 (SF / 192cm / 26歳 / 琉球ゴールデンキングス)
