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【Bリーグ】比江島慎(宇都宮)静かに“読み”で試合を動かす/進化する役割と存在感、そして代表について

【Bリーグ】比江島慎(宇都宮)静かに“読み”で試合を動かす/進化する役割と存在感、そして代表について

BCL Asiaでの経験とクラブ世界一を決めるインターコンチネンタルカップへの挑戦を経て、今シーズンの宇都宮は怪我人も出る中で、比江島自身の役割が増し、変化も生まれている。また、代表への向き合い方も含め、比江島慎は2025-26シーズンを独自のリズムで進んでいる。

11月12日(水)、トヨタアリーナ東京。
アルバルク東京との激戦を終えた比江島慎は、悔しさを時折滲ませながら、いつもの静かな口調で、今季のテーマと自身の現在地を丁寧に語ってくれた。

ここでは、BCL Asia優勝、クラブ世界一の舞台への歩み、最新スタッツ、進化するゲームメイキング、今季の役割、そして課題と希望、さらに代表不参加の理由をJbasketの視点で推敲していく。

今季(2025-26) 比江島慎の最新平均スタッツ
•得点:11.6
•アシスト:4.5
•リバウンド:2.9
•FG:40.0%
•3ポイント成功率:33.7%
•スティール:1.3
•ブロック:0.2
•フリースロー成功率:62.7%

数字が示すのは、“点も取るゲームメイカー”へと進化しつつある比江島の現在地である。今季はチームに怪我人が出る中、勝利のために求められる役割を的確に埋めながら、時間帯ごとの整流役として安定感を発揮している。

 今シーズン点も取るゲームメイカー
① アシスト4.5本 攻撃の流れを作る役割多様なフィニッシャーが揃う宇都宮。その中で攻撃を整理し、流れを創る比江島の価値はさらに増している。

② 点の取り方が効率的にズレが生じた瞬間だけ刺し、クラッチでは自ら勝負に出る。必要なときに決め切る精度が成熟しチームに余白をもたらす。

③ チーム構造との相性は昨年にも増して、若手の推進力と外国籍選手のフィニッシュ力が際立つ今シーズン。比江島が入る時間帯は最も落ち着きが生まれ、オフェンスが滑らかな時間帯になることが多い。

BCL Asia優勝 価値と意味
宇都宮ブレックスはBCL Asia 2025で優勝しアジアを制した。この優勝は “クラブ史に刻まれるタイトル”、 “アジアトップクラブの証明” という大きな価値を持つ。

この優勝によってクラブ世界一を決める FIBAインターコンチネンタルカップへの出場権を獲得。激しく世界と戦い抜いたが、結果は残念だった。しかし、それでも宇都宮にとってアジアから世界へ歩みを進める確かな一歩となり、新しい目標を与えてくれた。

EASL 2025-26参戦へ
2025-26シーズン、宇都宮は
EASL(East Asia Super League)へ参戦している。
ホーム&アウェー形式でのフルシーズン参戦は今回が初。アジアの強豪と年間を通して戦う新たな環境は、クラブとしての成長に直結する。

比江島慎の今季プレースタイル
比江島ステップは健在だ。無駄のないアタックに、若手・外国籍に合わせたゲームメイクも年々と成熟されていくなか、終盤で最も信頼されるクラッチスコアラーとしてオフボールでスペースを生む“読み”が大事な場面で活きてくる。比江島が入るだけで、宇都宮のバスケットには輪郭が戻る。これは “読みのバスケ” が深化している証であり、比江島慎という選手が長年積み重ねてきたスタイルそのものだ。

 

今シーズンの課題と希望
比江島慎は、最も重い時間を託される存在だ。BCL Asia、クラブ世界一を決めるインターコンチネンタルカップ、アジアの強豪と戦うEASL、そして国内リーグの強度。この多層的な環境の中で、比江島は静かに・確実に・宇都宮のバスケットを前へ進めている。

一方で、今季には明確な課題もある。フリースロー(62.7%)の改善。勝負どころの数本が試合の結末を左右する。コンタクト後のフィニッシュの安定感。世界基準を見据えるなら重要なポイント。
若手スコアラーとのリズムの共有。小川の復帰や星川との呼吸が深まれば、宇都宮の攻撃はもう一段上の強さと巧さを備えるだろう。

課題であると同時に、比江島慎という選手が まだ進化の途中にある証明 でもある。経験と“読み”で試合を動かす姿勢は揺るがない。その上で、自らの伸びしろと真摯に向き合いながら、比江島慎は今日も「勝たせるために、自分のすべてを使う」という信念のもとにコートへ立つ。

Jbasketインタビュー🎙️

J:日本代表に参加しない判断について。チームを優先する気持ちや、体のコンディションについてはどうですか?

比江島
「自分の体と相談しながら、怪我のリスクも考えて判断しました。今はブレックスで戦うことにフォーカスしています。やっぱり一番心配なのは怪我の部分なので、そこを大事にしながらやっています。」

J:代表とクラブの間で、“体の状態”が大きなポイントになったという解釈でいいでしょうか?

比江島
「そうですね。はい。」

J:最後の比江島選手らしいクラッチシーンを含めて、どういう準備をしてその時間帯に臨んでいますか?

比江島
「もう長年やってきていることですし、自分の時間帯というか、“その瞬間”は感覚で入っています。D.J(ニュービル)とも助け合いながらやれればよかったなという反省もありますけど、あそこで決めきるかどうかでチームを勝たせるかどうかが変わってくる。そういう状況を楽しみながら、いいメンタルで臨むことを意識しています。」

 

日本代表に比江島慎の姿がないのは、ファンとして、そしてBリーグを追う者としてやはり寂しさを覚える。

しかしそれは同時に、日本代表が新たなフェーズに踏み出すチャンスでもあり、比江島自身にとってもクラブに向き合う時間から生まれる新しい視点や価値を深く見つめ直す機会になっている。

彼が代表にいない時間は、決して空白ではない。宇都宮で積み重ねる経験、読み、役割の変化、そのすべてが、比江島慎という選手をさらに立体的に、さらに深く見せてくれている。

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Jbasketライター

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