
『僕のバスケットボール人生の中ですごく衝撃を受けた「その人の人生に関わる」ということ、スリーピースプロジェクトの輪を広げていきたい』
3ポイントは、ただの得点ではない。
その1本が、誰かの人生に届くことを、
辻直人は知っている。
CS出場を懸けた終盤戦。ワイルドカード争いも激化する中、現在、ワイルドカード圏内を戦う群馬クレインサンダーズは、3月14・15日にホームでアルバルク東京に連勝し、群馬の強さを見せた。
上位相手を退け、確実にその距離を縮めた。
勢いを増すチームの中心には、コートの内外で価値を生み出し続けるシューターがいる。社会貢献活動「スリーピース」。その原点には、「その人の人生に関わる」という重みを知った瞬間がある。
辻直人は、洛南高校→青山学院大学を経て、川崎ブレイブサンダースを日本一に導き、日本代表で活躍し、広島を経て現在は群馬クレインサンダーズでプレー。また、Bリーグ通算3ポイント成功数1000本を3人目(富樫勇樹・安藤誓哉に次ぐ)で達成した日本屈指のシューター。(キャリア詳細は記事下に掲載)
その辻に特別に聞いた。
Jbasketスペシャルインタビュー
スリーピース活動について
J:辻選手の「スリーピース」ですが、辻選手のファンや、最近チーム含めて、バスケットファンになった方々にも、「スリーピース」が浸透してきたと感じているんですけど、辻選手はどう感じてますか。
辻直人
「本当におっしゃる通り、本当に徐々にだと思うんですけど、認知度は広がってきたんじゃないかなと思います。今シーズンからは谷口大智選手が参加してくれて、待望の選手というか。僕はこのプロジェクトの輪を広げていきたいなと思っていたので、本当に参加してくれたのは大きいことだと思いますし、これから1人、また1人と選手が増えていったら、僕は嬉しいなと思います。」
J:逆にこのインタビューで初めて見る方もいるかもしれないので、「スリーピース」とは、辻選手が3ポイント1本入る度に3,333円(を寄付)ですよね。それが今、何年ぐらいになりますか?
辻直人
「7年かな……でもコロナ禍出来ない時期もあったんで。あとは移籍もあって、広島1年目はなかったんですけど。広島在籍の時でもできたんで。群馬に来てからも続けられているっていうのは、本当にクラブの協力もあってこそですね。まずクラブの協力がないと本当にできないことだと思いますし、またその運営側というところもできて、これからスポンサー様にも協力をしていただく形で、徐々に「和」を広げられている段階ではあります。」
J:毎年、何十万円と寄付して通算にすると大きな額だと思うのですが児童養護施設へプレゼントされたり、他にもあると聞いてます。
辻直人
「そうですね。去年はシーズンの終わりに、病院ですね。
きっかけは、一人の少年との出会いでした。ファンの皆さんが会場で後押ししてくださったり、応援してくれたりする中で、このコートでプレーするっていうのが僕らの仕事と言いますか、大前提であるべき姿だと思うんですけど。
ただ、会場に来られない方たちもいますし、それが病気であったり環境のせいで来られない人もいるっていうのを知りました。
僕が出会ったのは、お子さんだったんですけど、その子がそれでもやっぱり応援したいと言ってくれて。僕が何か励みになればと思って、その時にビデオメッセージを送ったんです。
それがきっかけで、
その子が元気になってくれて。
病気と戦って治療も頑張って乗り越えて、今は本当に健康に過ごしてくれているんですね。
それが、こうやってコートでプレーするにあたって、本当に「勇気」だったり「元気」だったりっていう言葉を、もちろん僕の中でもあったんですけど、「命に関わる」というか、「その人の人生に関わる」というところですごく衝撃を受けました。僕のバスケットボール人生の中でそういったことが今までなかったので。
これは僕のファンとかではなかったとしても、その出会いをきっかけに、その子たちの人生において一つの希望というか、何かきっかけになってくれれば、すごく僕としては嬉しいなと。
もちろんファンの皆さんもあってこそなんですけど、自分が持っているプロ選手としてのポテンシャルというか、影響力はそこにもあるんだっていうことに気づけました。
だから僕だけではなくて、もっと他の選手も、他のスポーツももちろんそうだと思うんですけど、そういったところに影響をもたらしているんだと。そういうのがやっぱりプロ選手の醍醐味だと思いました。
そういうのを一人でも多くの人に、ファンの皆さんもそうですけど、「そういう子たちがいる」という存在も知ってほしいし、選手に関しても、そういう希望を持たせられる人であってほしいなと思います。」
J:その得意の3ポイントが人の人生に勇気を与えるっていうのは、なかなかやりたくても普通はできないですね。
辻直人
「いやね、そう……まあ僕は得意なのが3ポイントだっただけであって、各選手それぞれ、他の選手だったとしてもアシストだったり、リバウンドだったりというところ、いろんな分野の強みはあると思うので。得点もそうなんですけど。
そういうところで、いろんなバリエーションで「その選手の強みで子どもたちの人生に関われる」っていう風に思ってもらえたら、より多くの選手に参加してほしいなと思います。僕はそれがあって3ポイントにしたんですけど、それが僕自身の3ポイントのモチベーションにもなるんで。それはウィンウィンの関係ですごくいいなと。ずっと続けたいですね。」
J:トップ選手がそういうことをやるっていうのは意義があると思うんですけど、辻選手の中に、明るい部分と真面目な部分、そのあたりがずっと共存していると思うんですけど。根っこは真面目なんですよね。
辻直人
「根っこは真面目なんです。そうなんです(笑顔)。」



さらに、Bリーグオールスターin長崎のあの事件を、これからの自身のプレー、日本代表で戦うこと、バスケファンへ伝えたいこととは。
辻直人の“今”を、3本で届ける。
Jbasket AND1スペシャル動画🎥にて公開中
① スリーピースの原点
② オールスターの裏側
③ 自身のプレーと日本代表
「その人の人生に関わる」
この言葉の意味が、すべて繋がる。辻の普段みせない表情も必見。


Jbasket視点
コートの内外で、人の人生に関わる力を持つと知ったシューターは、今もその一歩を積み重ねている。そしてその背中には、もう一つの強い思いがある。
リーグ制覇。
その頂点を本気で見据えながら、群馬クレインサンダーズの一員として、自身のパフォーマンスで勝利に貢献すること。
取材を通して感じたのは、その言葉の奥にある揺るがない芯と、ブレない信念だった。
すべてを背負い、戦い続ける。
辻直人の3ポイントは、これからも誰かの人生に届いていく。
洛南高等学校(京都)
全国屈指の強豪・洛南高校でエースとして活躍。後輩の比江島慎(現・宇都宮ブレックス)らとともにウインターカップ連覇を達成。
青山学院大学(2008–2012)
関東大学リーグ、インカレ優勝に貢献。正確な3ポイントと高いバスケットIQで、学生No.1ガードの評価を得る。
東芝ブレイブサンダース/川崎ブレイブサンダース(2012–2021)
JBL・NBL・Bリーグを通してプレー。JBL優勝(2012–13)、NBLベスト5、天皇杯2連覇(2016・2017)など、川崎の黄金期を支える中心選手として活躍。
広島ドラゴンフライズ(2021–2023)
チーム再建期を支え、若手の成長を促す精神的支柱としてプレー。
群馬クレインサンダーズ(2023–)
経験と洞察力でチームを支え、若手を導くリーダーとして活躍中。
日本代表歴 🇯🇵
日本代表(2013・2014・2015)
ウィリアム・ジョーンズカップ2013出場
FIBAアジアカップ2014・2018出場
アジア競技大会2016出場
FIBAワールドカップアジア予選(2018–2019)出場
主な実績 🏆
JBL優勝(2012–13/東芝)
NBLベスト5(2013–14)
天皇杯2連覇(2016・2017/川崎)
Bリーグ通算3ポイント成功数:1000本達成(2025年11月/史上3人目)
社会貢献活動
「スリーピース」主宰
3ポイント1本成功ごとに3,333円を寄付し、児童養護施設や医療機関などを支援。
