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【U18日清食品トップリーグ】庵原有紗(日本航空北海道)創部3年のチームを全国へ押し上げたエース/「最後に日本一を取りたい」

【U18日清食品トップリーグ】庵原有紗(日本航空北海道)創部3年のチームを全国へ押し上げたエース/「最後に日本一を取りたい」

日本航空北海道が全国で存在感を放つようになった背景には、ひとりの選手の成長が欠かせない。その中心に立ってきたのが、180cmのフォワード・庵原有紗(3年)だ。大きな声で味方を引っ張るわけではない。しかし彼女のジャンプシュートひとつ、リバウンドひとつが試合の流れを変える。確実にチームの支えとなる選手、それが庵原である。

■ドイツと日本、2つの環境が庵原を育てた
父がドイツ人、母が日本人の庵原は東京で生まれ、幼い頃にバスケットを始めた。7歳でドイツに移り、そこで実力を一気に伸ばす。U15ドイツ代表に選ばれ、国際舞台を経験し期待も大きかった中で、2023年に日本でバスケットをすることを選び帰国し、彼女は日本航空北海道を選んだ。

■1年生から全国へ
帰国したその年、庵原は1年生ながら全国の舞台へ立つ。インターハイでは「1年生軍団」として注目を集める中で3回戦まで進出し、ウインターカップでは惜しくも初戦敗退。結果以上に、180cmのサイズと動ける身体能力は強烈なインパクトを残した。

■2年生では飛躍のシーズンに
2年目の2024年度、庵原は本格的な飛躍を遂げる。北海道大会で安定した活躍を見せ、JBAのU18日本代表候補32名に選出された。
スピードも強度も高い環境に揉まれ、プレー判断や視野は一段と磨かれた。この経験も、最終学年となった今年に成長を大きく後押しする。

■3年生 日本一へ向かって
2025年8月。庵原有紗は、U18日本代表の正式メンバー12名に選出される。候補ではなく、本当の意味で日本を背負う選手となった。これまでの努力が確かな形になった瞬間である。夏インターハイ準優勝で創部3年の快進撃を見せる。2025年のインターハイで、日本航空北海道は全国に衝撃を与えた。
準々決勝で京都精華学園、準決勝で岐阜女子を撃破し、堂々の決勝進出。準決勝では庵原が21得点・10リバウンド、決勝の桜花学園戦では28得点・10リバウンドのダブルダブルと圧巻のスタッツを残した。試合は59–63で惜敗したものの、北海道勢として15年ぶりの全国準優勝。創部3年のチームが、名門の並ぶ全国の舞台で堂々と戦い切った。

■秋 日清食品トップリーグは3勝4敗。ここで学んだこと

勢いのまま挑んだU18日清食品トップリーグは、3勝4敗・5位という悔しい結果に終わる。だが、この7試合は数字以上の価値があった。強豪校の圧力、徹底された対策、主力への負担も見られた。勝ち切るために必要なものが何か、日本航空北海道は身をもって知ることになる。庵原自身も、相手に研究される中でどんな判断をするのか、チームが揺れた時間帯にどう我慢するのか、勝負どころで何を選ぶのかを深く学んだと思われる。

3勝4敗という現実は、彼女にとってもチームにとっても、冬へ向かう最後の成長材料となったに違いない。庵原は秋の3か月間でプレーの質を大きく変えた。ミドル一辺倒ではなく、状況を見てドライブに切り替える判断。リバウンド後の展開スピードの速さ。うまくいかない時間帯での我慢も、次の強さへの大切な土台となる。

Jbasketインタビュー

J:スタッツが各部門でエントリーされていて、自身でどういう意識でプレーしていますか。

庵原
「自分は身長が高いので、そこの優位性を使って得点に絡むようにしてきました。あとは身長を活かしてリバウンドを取りに行ったり、そういうのを意識してました。」

J:その中でのトランジションはどうですか。

庵原
「自分たちはディフェンスからのトランジションをしたら、すごい得点につながることが多いので、本当にディフェンスを全員で徹底してから全員で走って得点することを意識してます。」

J:日本でのプレーはどう感じてきてますか。

庵原
「最初の1年生の頃は、自分まだまだそのスピード感についていけなかったことがあったんですけど、今3年生になって、もう慣れてきました(笑顔)。」

J:ウインターカップがありますが、どんなプレーを目指していますか。

庵原
「自分がどこからでも攻められるようにしたいということと、やっぱり身長を活かせる場面があったら、もちろんインサイドでたくさん攻めたり、同じぐらいの身長の人がいたら、そこはスピードでやったり、相手によって自分が何ができるかを考えて攻めてってます。」

J:メッセージをお願いします

庵原
「12月に最後のウインターカップがあるので、またさらに成長した姿を見せられるように、最後に日本一取れるように頑張ります。応援よろしくお願いします。はい。」

■ 庵原がチームにもたらしたものと課題
創部3年で全国の上位へ食い込めた理由のひとつが、庵原の存在だ。彼女は静かだが、そのプレーはチームに安心感を与える。シュート、リバウンドで流れが戻り、守備の一歩が仲間を動かす。日本航空北海道の中心には、常に庵原がいるのでチームに安心と信頼がある。
トップリーグで見えた課題もある。主力の負担、攻撃の幅、終盤の精度。そして競り合いの一本を決めきる力。庵原にも伸ばすべき点がある。ミドルを消された時の次の選択、疲れが見える終盤のリズム維持、強いディフェンスに対する判断の質、場面での強気、次のステップへ進む鍵となる。

■ウインターカップへ
インターハイで全国を驚かせ、勝つために何が必要か学び、そしてU18日本代表となった3年目。
ここまでのすべては、ウインターカップへつながっている。静かな強さを持つ庵原有紗が、最後の冬にどこまでチームを引き上げるのか。その答えは、もうすぐ訪れる。

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Jbasket

Jbasketライター

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