このプロジェクトで篠山竜青は神奈川県 桐光学園高校をサプライズで訪問した。
「2度と戻ることのない一瞬の輝きをひきだすために、憧れのアスリート、元アスリートが全国の部活チームを訪問。ヒーローたちの言葉やアクションを通じて、<部活生が持つポテンシャルを最大限にひきだす部活生応援プロジェクト、Rise Up」
第3弾のアスリートは日本代表キャプテンとしても活躍してきた篠山竜青(川崎)。
今回訪れたのは、ウインターカップ9年連続出場を決めたばかりの神奈川県の強豪校・桐光学園高校バスケットボール部へ。実践練習とスポーツ栄養講座を開催した。
前半は篠山選手自ら5対5の練習に参加、練習の合間には生徒たちを集め、細かな戦術やメンタルの保ち方を伝授。後半は、トップアスリートの食事管理も担当する株式会社明治の栄養士・田中麻依子さんによる、スポーツ栄養講座が行われた。
生徒たちが体育館で練習するその裏で、篠山選手は体育館に潜入。生徒たちの練習をモニターでチェックする。選手たちはハーフコートで2対2のシチュエーションを作り、基本的にダウンスクリーンをかけるところで駆け引きし、パッサーからボールを受けゴールを狙うという練習をしていた。
そしてモニタリングを終えた篠山が選手たちが集合しているところに混じってサプライズ登場。生徒たちは一瞬静かになるも、
「え?え?え!え!え?え!」と驚く。
篠山は「ウインターカップ出場おめでとうございます。」と祝福の言葉を述べ、今日の流れの説明と挨拶をし、熱血指導を始めた。そしてドリブル無しのオールコート4対4の練習を開始。特にドリブルができないということは必ずパスを受け取れるところに走り込む選手が必要となるため、走量は増える。
4対4終了後、篠山選手がアドバイスを伝える。
「ドリブルないってわかっているならもっと激しくディフェンスできるはずだし、それに対して裏をかくようなプレーができるはず。ディフェンスの質が上がれば、オフェンスの質も上がっていく。そしてもう1つ、ミスして諦めるのか、そこからついていくのでかなり差が生まれてくる。そこを意識してミニゲームに繋げていきましょう。」
そして5分間の篠山選手を含めた5対5の練習が始まる際に、篠山選手のチームはUCLAを使う流れを確認したり、チームでコミュニケーションをとっていた。
しかし篠山チームは1試合目を負けで終えてしまった。
「スクリーンをかけられそうになった際には、相手に先にコンタクトしてついていってスクリーンを使わせない。次は勝とう。」
1度休みとなった篠山選手チームはそのままハイポストでのスクリーンの駆け引きの部分をホワイトボードとマグネットを使用し説明していた。
「決められたプレーだけでなく、誰かのアドリブについていくことも得点を増やす鍵。フレックスを起点に得点していこう」
出身地の話なども交え交流しながらも、篠山選手が求めることはハイレベルだ。しかし、強豪校である桐光学園の生徒たちも喰らいついていく。
篠山チームは2試合目の順番が回ってきた。
篠山チームはフレックスを起点に攻めていく。そんな中コート中央で味方がスティールされ、イージーなレイアップを誰もが決めると思ったところを篠山は全力で追いつきブロック。先ほど部員に言った「諦めない」という言葉を実行してみせた。
そしてチームの1人がフレックスの駆け引きからウィングに飛び出し、見事に狙っていたスリーポイントシュートを成功させた。その後には、篠山とマッチアップする選手がコート中央で篠山のパスカット。周りは大盛り上がりだ。篠山選手も悔しそうな表情をみせた。
その悔しさを晴らすように、篠山はシュートフェイクを1度はさみ、落ち着いて見事な3ポイントを沈めた。
試合後に生徒たちを集合させ、篠山は「フレックスの際に、ディフェンスするときバックスクリーンの声が聞こえたら、スクリーンを使おうとしている相手にコンタクトしてスクリーンを使わせないことが大事。ディフェンスうざいなって思わせたらこっちのリズム。そしてオフェンスの時は、いいシュートを打つためにフレックスやUCLA、スクリーンを使っているのだからもっと自由度高く、1個のスクリーンプレーからパターンを増やしていこう。期待してます。神奈川代表として頑張ってください。」と技術面やメンタルの部分でもアドバイスを贈った。
選手達とのQ&A
試合前のメンタルについて
「初戦で一番嫌なのは本気で勝ちにくる奴らの顔。ウィンターカップ1発目、格上のチームと当たることになっても、マジで勝ちにいこう。なんかやってやろうっていう気持ちが大事。そういう気持ちが重なって何か起きる。そういう気持ちを持つべき」と語った。
ポイントガードとして心がけていること
「簡単に背中を向けない。プレッシャーかかってきたら抜く。ゲームをコントロールすることを意識しすぎず、あくまでバスケは1対1と考える。1度そういうプレーをすれば、相手はそれも警戒しなければいけないことになる」と答えた。
篠山のプレーには気迫を感じたという感想に
「俺なんてたいして技術ないから自分よりうまいやつ、富樫、河村、斎藤拓実、B2B3に自分よりうまいやつはいっぱいいる。大事に考えて欲しいのは調子悪い時に何ができるか。やっぱり何かやってやろうっていうところが気迫に繋がっていくと思う。そうゆう気持ちをみんなに持って欲しい。」
最後に篠山が
「桐光学園や法政二高、チームの中では話題になったり、みんなが思っているより川崎の代表として気にかけています。応援しています。」と気持ちを伝えた。
キャプテンの島村くんからお礼の言葉
「僕たちの目標はメインコートに立つこと。そしてその先にあるウィンターで優勝すること。これからもこの経験を生かして頑張りたいと思います。ありがとうございました。」と意気込みと感謝の言葉を述べた。
練習後インタビューを受けた3年生2人も篠山に対して
「テレビの中の人とマッチアップすることができて、夢のような時間でした。」「フィジカルに自信があったが、篠山選手は凄かった。」「コミュニケーションが高校生とはやはり違うと感じた」など貴重な機会から感じたことを教えてくれた。
特別栄養講習会
「強さひきだすプロジェクトRiseUP」後半は株式会社 明治所属の栄養士 田中さんによる、栄養講習会。
篠山が意識している部分
「本当は好きだけど、バスケのために我慢しているものありますか?」
生徒「炭酸です」「揚げ物です」
これを聞いて驚く、素晴らしいと反応。
「僕が高校生の頃は栄養学とかわかってなかった。なんとなくスナック菓子をチームでやめようとかやっていただけだった。もっと早く栄養学を学んでやっていたらもっとすごい選手になれたんじゃないかと思う。科学的にアスリートにとっていいもの、悪いものが精査されてきている時代。こういう機会をうまく使うことができるかが大事。みなさんウィンターカップ頑張ってください。」と激励の言葉を贈った。
そこから田中さんは、最初にアスリートは風邪をひきやすいということ、そしてウィンターカップまで風邪対策として意識してとって欲しい4つの栄養素などを説明した。
「満遍なく日々とり続けることがアスリートには大事。」と伝えた。
生徒たちは一生懸命メモをとり頷きながら講義を受けた。
「アスリートでも外出中など食事に栄養が足りない場合もある。その場合は家に帰ってからでも不足分を摂取するという心がけが大事です。栄養、睡眠にいかにこだわっていけるかが、最後の結果にも結びついてくる」
後半は体作りをメインに講習会が進んだ。
「試合当日の食事のこだわるべきことは炭水化物とビタミンを多く取ること。逆に、避けてほしい食べ物は揚げ物など脂質が多いもの。やはり消化、吸収に時間がかかるものは避けるべき。試合後の食事は炭水化物とタンパク質を特に多く取ることで、翌日も良いパフォーマンスができる。」
最後に田中さんは
「今日伝えたことを考えて行動を起こすか、起こさないかはみなさん自身にかかっています。全てを完璧にすることは難しいけど、何か1つでも目標を設定して続けることが大事だと思います。」と伝えた。
その後部員からの質問に対して
生徒「体重(体脂肪率)を減らしたい、炭水化物を減らすべきでしょうか?」という質問も出た。
田中さん「まず気にして欲しいのは脂質。激しいスポーツをやっていることと、成長期ということを考えると、炭水化物はしっかり摂って欲しい。1週間で食べたものの記録をつけ、お菓子などを食べていないか食生活を省みてみるといいと思います。」
生徒「練習前は何を食べればいい?」
田中さん「炭水化物を多めに取るべきです。おにぎり、あんパン、バナナなどを意識して摂ってみましょう。」
笑いが生まれる場面もあったが、田中さんは的確に質問に回答してみせた。
「川崎としては覚悟が問われる1年、ずっと支えてきたニック・ファジーカスが引退するラスト1年のシーズンになるので僕たちにとって特別なシーズンが始まるので、なんとしてでも結果を出せるようにやっていきたいと思います。
またこうやって刺激を沢山受けれて、新たな気持ちで新シーズンに臨めると思っていえ、僕にとって良い一日になったと思います」
キャリア
PG/178cm/35歳/川崎ブレイブサンダース キャプテン
横浜市立旭中学校
北陸高校
日本大学
2011-川崎ブレイブサンダース
NBL優勝、2021.2022 天皇杯優勝(東芝時代から合計5回の天皇杯優勝)
2023 BリーグオールスターMVP
日本代表🇯🇵
2006年 U18 日本代表
2009年 U24 日本代表
ユニバーシアード
2016年
ウィリアム・ジョーンズカップ
FIBAアジアチャレンジ
2017年 FIBAアジアカップ
2017-19 FIBAワールドカップ予選
2019 FIBAワールドカップ 日本代表キャプテン