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【Bリーグ】岸本隆一、原修太 腸の難病”IBD 潰瘍性大腸炎”と自ら公表後現在は寛解してプレーを続けてきた思い、伝えたいこと

【Bリーグ】岸本隆一、原修太 腸の難病”IBD 潰瘍性大腸炎”と自ら公表後現在は寛解してプレーを続けてきた思い、伝えたいこと

7月6日都内にて「IBDreamめし〜アスリート編〜」武田薬品とエームサービス共催のトークイベントに2022-23 Bリーグ初チャンピオンに輝いた琉球ゴールデンキングスの岸本隆一が登壇して、千葉ジェッツの原修太がビデオメッセージで登場した。
2人は現役選手でありながら、腸の難病”IBD 潰瘍性大腸炎”を患い、向き合って戦ってきた。これまで普通に食べていた食事も、腸に負荷のかかる刺激物、糖質、脂質、アルコール等々、たくさんの食事制限があり、自分でコントロール出来ない生活模様や、発病した当初からのメンタル面、そして公表するまでの経緯など今までの事を聞く事が出来た。食に関しては岸本は「食べられなくなったものはありませんが、麻婆豆腐など刺激物や脂質の多いスイーツは日頃控えている」と、原は「ジャンキーな物はシーズン終わってから」など、更にアスリートとして気を付けている事や自分たちの活動で特に子供たちへの勇気や励みになればと公表した経緯やQ&Aが行われた。

IBDとは
腸を中心とする消化管粘膜に炎症が生じる疾患で、主に10代〜20代で多く発症することが知られている。
患者さんの多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながらに日常生活を送っています。武田薬品がIBD患者さんに実施したアンケートでは、脂質制限の必要性や、食べるものが限られてしまうなど、食事においても悩みを抱えていることが分かっています。一方で、IBDは症状には見た目には分かりづらく、患者さんがどのようなことで困っているのか周囲の方に伝わりにくい疾患と言われている。

今回患いながらもトップアスリートとして活躍してきた、また活躍している方々がメッセージを出した。

バスケットボール界からは2022-23シーズンで天皇杯、Bリーグファイナル共に決勝で戦った岸本が登壇して、原がヒデオメッセージを出した。2人がトップアスリートでありながら、これほどの病気と向き合ってやってきている事を知る機会になった。

登壇した岸本は、
「僕自身病気の診断を受けた時には凄く絶望感があったんですけど、今はプレーし続けていって少しでも希望になれたらなと思います。
今、気づきにくい幸せを感じていて、自分にとってコントロールが効かない病気になったきっかけに、何かポジティブになるマインドになるという事を言える所まできたなと思います。
入院中は面会が出来なく、家族と会えない事や、些細な事に幸せを感じる事が出来た。」とエピソードを話してくれた。

 

Jbasketからの質問
J:腸は栄養、メンタルに大きく影響されると聞きますが、昨年瞑想も取り入れてると伺って、今年優勝まで続けた事などあったら教えて下さい

岸本:「自分の中でルーティン化してしまうと、それが逆に出来ない時に凄く自分の中で、引っ掛かる部分があったので、今シーズンに関して言えば、思いついた時に、思いついた事が出来ればいいなというくらいの気楽な気持ちで過ごしてきたので、それがチームの結果としても、自分の体調面でも凄くいい影響があったと思います」

現在ワールドカップ2023日本代表候補合宿に参加している原からは、
「IBD患者の原です。ありがたい事に、ベスト5やベストディフェンダーを頂けました。僕自信、患者の方々との交流や試合に応援に来てもらったりしてて僕も勇気をもらってるので、今後も盛り上がっていきましょう。周りの方々に恵まれて、いつでもトイレに行ける環境でプレー出来てます。トレーニングなど色々試して発信していきたいと思ってます」とコメントした。

 

コメント

岸本隆一 (琉球ゴールデンキングス)

2013年1月に琉球ゴールデンキングスに入団。2013-14年シーズンに新人賞を受賞し、翌2015-16年にはチームキャプテンに就任。
また、2016年に日本代表に初選出された。2020年に、1ヶ月近く下痢と血便、微熱が続いたことがきっかけで、潰瘍性大腸炎と診断。その後は寬解を維持し、2022年には再度日本代表に選出。2022-23年シーズンでは、琉球ゴールデンキングスがBリーグ初優勝を飾るなど、現役で活躍している。

 

Q1:IBDについて、周囲の人や社会に知ってほしいことは?

「現在は寛解を維持していますが、症状の再燃中は、いつトイレに行きたくなるか分からない
ため、トイレが近くに無いととても不安になりました。また、精神的にも不安定になり、些細な事でイライラしてしまって感情的になることがあり、家族にストレスをかけることも多かったかなと思います。特に、IBD患者さんはトイレに行く回数がとても多く、我慢できないこともあると思います。なので、お店などでトイレを快く貸していただけるととても助かりますし、店頭や目のつくところにIBD大歓迎といった目印があると、患者さんにとって安心して暮らしやすい社会になると思います。」

Q2:IBD患者さんへのメッセージをお願いします。

「僕の経験上、病気の診断を受けてから、日々の有り難みや尊さを感じるようになり、何気なく過ごしていた日々に感謝し、明日の自分に期待できるようになりました。そういった心意気の変化が、トレーニングや試合にも、とても良い影響を与えていると感じています。病気の診断を受け、今までできたことができなくなったことを嘆くのではなく、病気をキッカケにいろんな事に目を向け、これからの人生をより良く生きて欲しいと願っています。」

Q3:IBD患者さんでアスリートを目指す方に、伝えたいことは?

「IBDを抱える全ての方の希望となれるよう、自分自身を大切に、自分自身に希望を持って前進していきましょう」

 

原修太(千葉ジェッツ)

2015年にプロバスケットボールチームへ加入。2018年、シーズンオフ8月下旬に体調が悪くなり、そのまま入院。潰瘍性大腸炎と診断される。現在は寛解し、現役で活躍して20222-23シーズンではシーズンベスト5選出、ベストディフェンダー賞受賞した。今ワールドカップ日本代表候補に選出されて合宿中になる。

Q1:IBDについて、周囲の人や社会に知ってほしいことは?

「内臓の病気なので、外から見ても分かりません。この病気について知らないと、悪気がなくても患者さんが傷つく言葉を言ってしまうかもしれません。私も体調が悪かったころには、トイレに行く回数が多くチームメイトから「また?」と言われたり、そう思われたくなくて、ストレスだったりもしました。IBDという疾患を知っていただけたら注意ができるし、みんなが過ごしやすくなると思います。
一方で、周りに病気を公表するのには勇気がいると思います。職業上、私は、病気を公表することにさほど抵抗はありませんでしたが、公表するのが正義だとも思いません。小学生や中学生と交流する機会もありますが、子供たちにもこの病気について知ってもらい、周りにトイレによく行く子がいたら、何も言わずに手を差し伸べてほしいです」

 

Q2:1BD患者さんへのメッセージをお願いします。

「大変だと思うけど、良くなる時は必ずきます。私も再燃したときには、試合中にお腹が痛くなって自分から選手交代を申し出ることもありました。それでも、辛いときには、チームのスタッフや担当医が寄り添い支えてくれました。現在は寛解していますが、オンオフの切り替えをきちんとして無理をしないようにするなど、工夫しながら過ごしています。落ち込みそうになったら、僕のプレーや他のアスリートの活躍を見て、元気を出してもらえたらうれしいです」

Q3:IBD患者さんでアスリートを目指す方に、伝えたいことは?

「この病気に終わりはありません。僕も完治しているわけではないので、同じ病気で頑張っているアスリートを見ると勇気をもらいます。同じ病気を公表するアスリートがいますが、勇気ある決断だなと思い励まされました。お互いを鼓舞しながら頑張っていきましょう!」

 

登壇者(左から)
太田裕子先生
北里大学病院 栄養部 管理栄養士

加藤広人
元ラグビー選手

岸本隆一

征矢貴
総合格闘家 パラエストラ松戸

石井洋介先生
おうちの診療所中野 院長/株式会社omniheal代表/日本うんち学会会長

 

また、この日はIBDreamめし 〜アスリート編〜
試食も行われて、アスリートたちは安心してしっかり栄養も取れる食事を楽しんだ。
これから、食事制限がある中で楽しまて、栄養ある食事をもっと増やしていく事が課題される。

・皆んなで楽しめる!!ピニャーケーキ
・絶対負けない!!多幸ライス
・祝!肉だくさんでボリュームたっぷり華やかごはん
・白身カツもルーローハンも!どっちもよくばり丼
・会話も弾む♪色でもまんぞくサバトマトソース

 

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Jbasketライター

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